時限爆弾? 「相続意向確認書」なる文書が届いたら
     最近受けた法律相談で、この事例はぜひ紹介しておいた方がいいと思ったものがあったので、ブログに書いておこうと思います。

     【相談者】 6~70代の男性。
     【相談要旨】 先日、なんとか債権回収という会社から、「相続意向確認書」という書類と回答書が届いたのですが、どうしたらいいでしょう。振り込めサギかもしれないので、放っておいていいですか?


     怪しい郵便物というと、さすが最近の高齢者。まず振り込めサギの可能性を考えてくれました。たしかにそれも相当あるのですが、さて今回は。

     持参していただいた文書を読んでいくと、どうやら相談者の兄の●●さんが亡くなって、その子が相続放棄をし、直系尊属(両親、祖父母など家系図の上の方)はすべて亡くなっているので、兄弟のあなたが相続人になってますよ、ということらしい。
     弊社(実在する債権回収業者の名前でした)は、亡くなったお兄さんに対して約1000万円(正確には細かい金額まで記載)の債権を有しています。つきましては、相続を放棄するのかしないのか、意向をご回答願います、という内容でした。

     相談者に事情を伺うと、
     ・相談者は兄とは何十年と連絡を取り合っておらず、死んだのもこの手紙で知った。結婚して息子が1人いて、その後離婚したはず。先日亡くなったことは確認した。
     ・妹のところにも、同じような郵便が届いたらしいが、妹は不審に思い既に受取拒否をしている。

     さて、相談者にはどのように回答したらいいでしょうか。たまにはクイズにしますか。

     (1) こんな手紙は放っておけ
     (2) 必ず、「相続を放棄します」と回答書に書いて返送しなさい
     (3) そんなことよりも…


    結局、放置車両にはどう対処すればいいのか
     マンションの敷地内や駐車場にある持ち主不明の放置車両、どうしたらいいでしょうかという相談を受けることがあります。公道であれば警察に通報して終わりですが、私有地だと警察もなかなか手が出せません。

     弁護士として頭を悩ませるのは、まず(1)自力救済として許される範囲はどこまでかという問題と、(2)所有者をどうやって特定するかという問題です。

    (1)自力救済

     勝手に処分(損害賠償を請求されるおそれ)、ボコボコに蹴飛ばす(器物損壊罪に問われるおそれ、ただし親告罪)というのは基本的にアウト。逆に言えば、後日持ち主が現れる可能性がないくらいの期間だけ放置されていれば・・・、ということ。
     警告の張り紙は、接着剤が落ちにくいような粘着力の強いもので貼ってしまうと器物損壊の問題あり。タイヤをロックしてしまう、空気を抜いてしまうのは、逆に車を使用できない損害について賠償などのトラブルに発展する恐れがあるので、お勧めしない。
     汚い話ですが、くそみそな話(※)でお茶を濁したりすることもありました。

    (※ 洗い落とせるので、車に味噌を塗った行為について警察が器物損壊罪での立件を見送ったというニュースがあった。なお、食器に放尿した行為について、経済的な効用を害するとして器物損壊罪が成立するとした判例がある。つまり、くそみそには違いがあるということで、法律相談で客を笑わすネタのひとつ)

     弁護士は違法行為をそそのかしただけで懲戒事由になりますし、最近は法律相談を無断録音する人もいるので、一見さんの相談では滅多なことは言えません。せいぜい、何回でも警告文を挟んでおくこと、違法駐車の時間を記録すること、状態を写真に撮影しておくこと等、合法的な範囲での無難な回答くらいです。

    (2)所有者の特定

     違法駐車の主に損害賠償を請求するには、車の持ち主が分からないといけません。

     平成19年に規則が変わり、自動車登録番号(ナンバープレートの番号)と車台番号(ボンネットの中)の両方が分からないと、運輸局では登録事項を教えないことになりました。放置車両のボンネットを勝手に開けるわけにも行かないので、事実上、手も足も出せないまま、うやむやに終わってしまうこともありました。

     ただ最近知ったのですが、東北運輸局宮城支局のサイトによれば、私有地における車両放置の場合について、「私有地放置車両関係位置図」を添付すれば、車体番号が分からなくても登録番号のみで登録事項証明書を出せる場合があるとのことです。

     なお、軽自動車は運輸局ではなく軽自動車検査協会の管轄で、上記の方法によることはできません。ややこしい。
    武富士と債権債務関係にある方の今後の対応について
     おはようございます。弁護士の村上匠です。

     今朝のニュースで、武富士が会社更生法を申請する方向で調整に入ったと報じられました。
     もし、報道の通り会社更生法の申請となった場合、武富士に過払い金の返還を求めている方、あるいは武富士に債務が残っている方はどうなるか、簡単にまとめました。参考になさってください。

    【注意】今後の動向によっては、会社更生以外の手続きになる可能性もあります(破産への移行や、裁判所を通さない私的整理手続きなど)。ここで書いた記事は速報に対応したもので、確実性を保障するものではありません

    ●債務が残っている方
     会社更生法による影響はなく、従来通りの返済をしていくことになるでしょう。ただし、今後しばらくの間は武富士からの追加借り入れは困難ではないかと思われます。
     また今後、返済先の口座が管財人の指定する口座に変更される可能性があります。

    ●過払い金債権のある方(裁判で勝訴判決を得て確定した方、減額和解に応じて入金を待っている方、交渉中の方。段階を問わない)
     全額返還の可能性はほとんどなくなりました(※1)。残念ですが、会社更生法上の「債権の届出手続き」をしたとしても9割近くがカットされると思われます(どの程度のカットがされるかは、今後の会社更生手続きの中で、資産・負債の総額により計算され決まります)。債権届出をしなければ失権、すなわちパーになります。
     債権届出の具体的な手続きについては、いずれ武富士のホームページ等で案内が出ると思われます(※2)
     実際に現金が配当される時期は未定です。JALも会社更生手続きをしていますが、まだ全然見通しが立っていません。多数の取引があることから、数年かかることも考えられます。

    (※1)少額の債権者(例えば10万円以下など)については、債権者の頭数を減らすために、全額弁済がされるかもしれないという意見があります。

    (速報記事のため、今後記述が変更される可能性があります。引用・転載の際にはこの点もご留意ください)

    (追記)27日14時30分
     武富士は、報道されているような決定を行った事実はないとのコメントを発表しております。
     もし誤報なら過払い金の債権者にとってはありがたいのですが、複数のメディアによる誤報、しかも信用情報に関する誤報がありうるでしょうか・・・。
     なお、前記記事で「9割近く」カットされるとか、会社更生手続きに「数年かかる」かもという記述は、私自身が想定する最悪のケースであり、好転する可能性ももちろん考えられます。

    (追記)29日8時30分
    (※2)武富士のホームページで公式のお知らせが出ています。
    会社更生手続きについて、問い合わせのフリーダイヤルが設けられました。


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    あなたが被害者になった場合、示談には応じるべきか
     こんにちは、弁護士の村上匠です。

     もしあなたが犯罪被害者となり、加害者(正確には被疑者または被告人)の弁護人から示談の申し込みを受けた場合、これに応じるべきでしょうか。

     示談金を受け取ることで、加害者の処罰が軽くなることには、抵抗を覚える方もおられることでしょう。
     しかし、事案にもよりますが、一般的には応じた方が良いと考えます。
     以下、その理由を説明します。

     まず、加害者の側で示談を成立させる目的は何かといいますと、被疑者(刑事裁判にかけられる前)であれば、不起訴や一日も早い身柄の釈放、被告人(刑事裁判にかけられている人)であれば刑罰の減軽です。

     被害者に対して被害を回復させる措置を取った人は、何もしない人よりも有利に扱われます。納得いかない方もおられるかもしれませんが、そうしないと誰も自主的に被害回復を図ろうとしなくなります。

     もし、加害者側が何の損害賠償もしない場合、被害者の方から法的な手続きを取らないと、加害者に損害賠償をさせることはできません。損害賠償を求める手続きには民事訴訟のほか、損害賠償命令制度などがありますが、一般の方が利用するには難しく、費用をかけて弁護士を依頼しなくてはならない場合もありえます。
     そして、民事訴訟で請求が認められたとしても、法的に請求できる相手はあくまで加害者本人に限られるので、その親兄弟には請求できません。加害者本人にお金がない場合、いくら勝訴判決があろうと、お金は取れません。これが示談だと、親兄弟から借りてでも示談金を用意するということはありえます。

     また、民事訴訟などで認められる損害は実際に発生した損害に限られるため、弁護士を通じて提示される示談金の方が、裁判で得られる賠償金より高額になることも多いです。加害者の方としては、刑事事件での処分を軽くするために、多少高額でも、早期に示談を成立させたいという動機があるのです。


     では、被害者から、示談金をつり上げる交渉をするのはどうでしょうか。
     これは正直言っておすすめしません。

     相当な示談金の額を提示しているにもかかわらず、被害者が受け取らない場合、弁護人はその示談交渉経過を報告書にまとめます。これを加害者の刑事裁判で証拠として提出しますと、裁判所が刑罰を決めるにあたり、加害者に多少なりとも有利に考慮されることになります。
     そして、そのまま刑事裁判が終わって刑が確定してしまったら、加害者としてはもう示談を成立させる動機付けがなくなってしまうので、示談の話は流れてしまいます。そうなると、民事訴訟その他しか手段はないのですが、その場合の負担については、上に述べたとおりです。

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    「利益相反」についてのご説明
     弁護士法25条及び弁護士職務基本規程27条により、相手方の協議を受けて賛助した事件、相手方の依頼を承諾した事件、受任している相手方からの依頼による他の事件については、職務を行うことができません。これは、弁護士と依頼者の信頼関係を確保するためです。

     従いまして、このブログをご覧になっているあなたの相手方代理人に村上が就いている間は、残念ですが別の事件でもあなたの相談や依頼は承ることができません。
     他の弁護士にご相談ください。例えば、

    小野寺照東法律事務所 大ベテランの先生です。

    弁護士法人アクティブイノベーション法律事務所 全国に法人を展開しワンストップサービスに取り組んでいる事務所です。

     その他、宮城県内の弁護士を探すなら、仙台弁護士会弁護士検索など。

     ちなみに、弁護士が依頼者に偽証をさせることはありません。弁護士は、依頼者の「正当な」利益を実現するよう努めるものであり(弁護士職務基本規程21条)、ウソをつかせて不当な利益を上げる手伝いはできません。
     そこで、もし、あなたが当事者の訴訟や調停において、相手方の主張にウソが含まれていると考える場合には、その旨をあなたの弁護士に相談し、証拠を基に反論してください。
     この場合、相手方弁護士が偽証をさせているのではなく、記憶違い等の理由による認識のズレが生じているか、あるいは相手方本人が(その依頼した弁護士にも)ウソをついていることが理由として考えられます。
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