昭和53年当時、中日ドラゴンズのホームランバッターと言えば?
     東京大学法科大学院ローレビュー第12巻(2017年11月)の、白石忠志東京大学教授による寄稿「eスポーツと景品表示法」を読んでいたところ、気になる記述を見つけました。

     ここで「eスポーツ」というのは賞金付きのゲーム大会のことですが、欧米やアジアでは数千万円を超える高額賞金の大会があるのに対し、”日本では景品表示法の規制により高額の賞金の大会が開催できない”とされているが、一般人が参加できる大会と一般人は観戦するだけの大会とで分けて考えていけば、一概に高額賞金の大会ができないとも言えないでしょう(村上による超意訳)という論考です。

     そして、一般人が参加できる競技大会に対して景表法による排除命令が出た例として、昭和53年に愛知県春日井市のバッティングセンターが、ホームラン数1位の客に約30万円の中古車を進呈しようとした事例を取り上げています。
     当然、プロ野球選手が参加する企画ではなく、商品により誘引されうる一般人が参加することを想定した企画だと思われるのですが、その例えが。

     「中日ドラゴンズの谷沢健一選手や木俣達彦選手が来場して賞品をさらっていくことは,想定していなかったと窺われる。」 (94ページ)

     昭和53年で、愛知県だから、当時の中日ドラゴンズの主砲ということですね。
     渋いなあ。
    妃川螢『これは弁護士の仕事ではありません!』
     弁護士もののライトノベルをネットで見つけたので、ポチッと購入しました。ネットショッピングはほんとに衝動買いを誘うので、気をつけないと本が増えていきます。

     さて今回手にしたタイトルは、妃川螢『これは弁護士の仕事ではありません!』(富士見L文庫)。法律事務所の顧問先のため、勤務弁護士が本来の弁護士業務とは思えない事件に奮闘するという内容でした。

     第1話は、資産家がペットに全財産を譲るという遺言書の話。
     これが無効になることは、弁護士ブログをわざわざ読みに来る酔狂な皆さんなら既にご存知のとおり。ただし主人公の女性弁護士は、負担付遺贈、負担付死因贈与契約、信託などペットに遺産を残す方法について検討を始めます。
     「おお、作者の方はよく取材していらっしゃる」と嬉しくなりましたが、法律が関わってくるのは24頁めまで。それ以降は、女性弁護士は狂言回しの立場に収まり、法律知識の出番はまったくありません。
     まあ、ライトノベルでガチガチの法律論を展開されても普通の読者は困るし、しょうがないか。

     代わりにトラブルを解決していくのは、中国・台湾のお茶に詳しく、動物と話ができるらしい謎の男。 
     全3話ともに動物が事件の鍵となっていて、男が動物の声を読み取りトラブルを解決。最後には事件や関係者にふさわしいお茶をご馳走してハッピーエンドに収まる(これがもし料理なら美味しんぼ山岡のような感じ)、なんともほんわかしたストーリーでした。

     台湾のお茶というと、私は3年ほど前に台北と九份という街を旅行したときに何回かいただきましたが、向こうのお茶は味そのものよりも香りを愛でる印象を受けました。それと、お茶が入るまでのゆっくりとした時間を楽しむものですね。
     日々せわしない生活ですが、いずれまた味わう機会を持ちたいと思います。ありがたいことに、仙台空港は台湾便が毎日飛んでますので。

    住宅でも賢い顧客になるために――佐々木孝『誰も教えてくれない! マイホーム建築の罠』
     始まってもいない自宅新築工事を解約しようとしたところ、営業担当者から口頭で聞いていたより解約手数料が高いという相談を受けたことがあります。
     契約書には何とあります? と聞くと「手元にない。そもそも契約していないと思う」と。
     じゃあなんで既に業者に手付けを払っているんですか・・・と唖然としましたが、新築住宅という高い買い物なのに、営業の言いなりになって疑問を持たないままの人も多いのかもしれません。

     できれば営業担当者の口車に載らずに、いい家を建てられたらと思っている方。
     あるいは私のように、いろんな業界の闇を暴露する本が好きな方。

     そんな方にお勧めしたい一冊が、佐々木孝『誰も教えてくれない! マイホーム建築の罠』

     この本の著者は、宮城県内で住宅問題の相談に乗るNPO法人「ハウジングネットコンシェルジュ」の代表を務めている方です。
     実は著者から、住宅業者や建築業界の問題点を取り上げる本を出すにあたり、悪質な業者がなぜ詐欺罪などに問われる例が見られないのかと取材されまして、そのご縁もあり献本いただきました。また、私の名前も紹介していただいております。本当にありがとうございます。
     
     この本ではこれまで上記NPO法人が受けた豊富な相談事例を取り上げ、住宅会社がいかに情報の非対称性を利用して顧客から暴利をむさぼっているかなどの様々な問題点、あるいは顧客が業者と対等に渡り合うための方法について、漫画を交えて分かりやすく解説されています。
     恥ずかしながら、明細・内訳を明らかにした見積書までは出さなくてもいい(単なる努力規定)という建設業法の欠陥については、著者からこの本の取材をされるまで知りませんでした。
     住宅建築工事が始まっても、中立の立場で第三者が工事を監督する訳ではないという構図も、考えてみれば怖い話です。顧客の性善説が欠陥建築を招くわけで。
     そして、決して大手だから安心ということはなく、業者選びにはポイントがあるとのこと。

     私自身は賃貸派なので今すぐ家を建てたいという考えはないのですが、マイナス金利政策で住宅ローンの金利も下がるので、憧れのマイホームをと考える方もおられるかと思います。住宅展示場に足を運ぶより前に、この本を一読しておくことをお勧めします。
    竹森さん、ずいぶん変わったなぁ?
     ロースクール時代の同期で、現在は東京・銀座に事務所を構える竹森現紗(たけもり・ありさ)弁護士がこのたび本を出したと聞き、さっそく買ってみました。
     タイトルは、『銀座の弁護士が教える泣かない女になる方法』(文響社)。
     内容についてはAmazonその他各所で紹介されていますので詳細はそちらに譲りますが、恋人DVや性犯罪被害、リベンジポルノ、セクハラなど、女性が被害に遭う場面ごとに必要な情報がまとまっていると思います。

     それにしても。

    竹森新刊

     もともと華もタレント性もある人だったけど、竹森さん、ずいぶん変わったなぁと表紙のお姿を見てしみじみ。

     …

     ……ん!?

     この表紙の女性、竹森さんじゃないぞ! 誰だこれ。
     彼女なら自身で表紙を飾ってもいいくらいの人なのに(褒め言葉)


     ここからは余談。
     こういう本を見て常々思うのですが、義務教育において最低限身を守れる程度の法律知識、社会常識は教えておいた方がいいと思うんですよね。
     たとえば弁護士会の法教育委員会などが中高生に出前授業をするにしても、1~2時間で伝えられるものはどれだけあるか。せいぜい違う立場から物を見てみようとか、ルールは何のためにあるんだろうとか、考え方のヒントを伝える程度しかできません。

     社会に出た後に、実は法律で守られている権利があるのに、それを知らず理不尽を甘受している人が多数いるのではないかと思うのです(最近では特に労働関係、派遣とかブラックバイトとかひどい話がありますね)。
     書類に判子を押す意味、クレジットカードの仕組み、詐欺・悪質商法を見分ける嗅覚、友人に金なんて貸すもんじゃないこと(法律をもってしても無い袖は振れない)、トラブルに遭ったときに相談すべき場所など、せめて学校教材の副読本の形にでもまとめられないものでしょうか。
     題して、『弁護士が自分の子供に教えたい法律と社会の仕組み』とか。私が書いても誰も手に取らないでしょうから、弁護士有志で作れたら…来年以降の課題かな。

     弁護士会も、もっと一般人向けに売れそうな本を出すといいと思うんですよ。全会員からアンケートを取って、例えば支払いの渋い保険会社のランキングを載せた『この保険会社がしぶい!』とか、法テラスの悪質対応事例を集めた『この法テラスがひどい!』とか、そこそこ売れると思うのですがどうでしょう。
    これで「ブラタモリ」ごっこができる!『仙台地図さんぽ』が面白い
     再版すると聞き予約していた『仙台地図さんぽ』が届きました。

     仙台市の100年前の古地図と、同じ場所の現在の地図を見開き2ページで対比していくものなのですが、どのページを見ても新たな発見があって非常に面白い仕上がりになっています。

     たとえば柳町周辺を見ると、大日如来の場所は昔と変わらず、仙台トラストタワーあたりは「東北學院普通部」、その向かいのSS30は「宮城女學院」。うちの事務所が入っている京成壱番町ビルのあたりは「横田少将邸」となっています。どんな方だったのでしょうか。
     現在の仙台地裁高裁は「控訴院」で、当時の地方裁判所は東二番丁通りにあり、面している通りが「裁判所横丁(旧バケモノヨコ丁)」と書かれています。

     その他、日に当たらない歴史としては、小田原あたりにある青色で区分けされたお店、病院も…

     ともかく興味が尽きません。本家「ブラタモリ」も仙台に来ていましたが、この古地図を片手に「ブラタモリ」ごっこができそうです。

     ところで本書の話から少し離れますが、八木山界隈の亜炭鉱の跡が今どうなっているのか、地下に空間が今でも広がっているのかにも個人的に興味があります。
     これについては当時の記録があまり残されていないと聞きましたが、調査や探検するイベントはないでしょうかね。
    知的障害者を守る保険
     これまで読んだ本で、「弁護士」という単語が出てきたものをランダムに紹介していくシリーズ第2回。


    不要な特約をやめて少額短期保険にしなさい!不要な特約をやめて少額短期保険にしなさい!
    (2012/07/13)
    上野 直昭

    商品詳細を見る


    「知的・発達障がいやてんかんのある方のための総合保険 ぜんちのあんしん保険 提供会社 ぜんち共済
    (中略) 具体的な保障内容は4つです。まず、病気やケガによる入院時に備えた医療保障、他人にケガをさせたり他人のものを壊したりしたときのための個人賠償責任保険補償、トラブルに巻き込まれたときの弁護士費用にあてる権利擁護費用補償、万が一に備えた死亡保障です」
     (49頁)

     生命保険でも損害保険でもない、いわゆる第三の保険である少額短期保険にスポットライトを当てた一冊。珍しい少額短期保険をいろいろ紹介しているが、そのうちの一つに、大手が扱わない知的障害者のための保険を取り上げている。保険弱者のかゆいところに手が届く補償内容がセットになっており、保険料も抑えられている。

     この他、葬儀費用を準備するための保険、賃貸物件での孤独死・自死に備える大家のための保険、糖尿病や不妊治療中など大手が断る人のための保険や、変わったところでは旅行の日に雨が降ったときの保険など、ニーズに応えて様々な保険商品が誕生していることが分かる。(情報はいずれも発刊当時のもの)
    お金以外の喜び
     これまで読んだ本で、「弁護士」という単語が出てきたものをランダムに紹介していくシリーズ(ただし第2回以降があるかは分かりません)。


    ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学 (幻冬舎新書)ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学 (幻冬舎新書)
    (2007/05)
    島田 紳助

    商品詳細を見る

    「お金以外にも喜びがなければ、いい仕事はできない。
     画家がいい絵を描くためにも、芸人が爆笑を取るためにも、弁護士が裁判で勝つためにも、お金以外の喜びが必要だ。お金だけが目的だったら上手くなんかいくわけがない。」
    (144頁)

     芸能界でもサイドビジネスでも成功した著者による新書。
     暴力事件とか、反社会的勢力との交際のためにテレビからは消えました。ただ、ビジネスに真摯に向き合う姿勢、お金の重さについて述べたところはいいことを書いています。
    Copyright © 匠の弁護. all rights reserved.
    Design by Pixel映画山脈