仙台各地で深夜のサイレン
     きのう8月31日の夜11時ころの話ですが、遠くから何かのアナウンスとサイレンの音が聞こえてきました。

     ご存じのとおり某国が日本をまたぐミサイルを飛ばしてJアラートが鳴ったばかりですので、サイレンの音に一瞬不安がよぎります。

     ただ、以前にも同様のサイレンを聞いたことがあったので、これはダムの放流前のサイレンだなとピンと来ました。
     すぐ大倉ダムのサイトにアクセスすると、果たして、リアルタイムで放流の水量が増えていました。長雨の影響で、満水なんですね。今度台風が来たらあふれそうなくらいに。

     しかし、よりにもよってこのご時世にサイレンとは、深夜に誤解した方も多かったのではないでしょうか。アナウンスの機械も、音が反響してほとんど聴きとれませんでした。Jアラートもそうですが、もっと何かうまい連絡方法はないものですかね。
    そんなモノ送るんじゃありません!
     以前、「弁護士トーク」というアプリに登録しているという話を書きました(※ 弁護士に相談できるアプリ「弁護士トーク」に登録)。きちんと数えてませんが、もう100件以上の相談はこなしていると思います。「かりあげクン」の植田まさし風にいえば「ヒマなヤロ」といったとこでしょうか。

     前にも書きましたが、ぶっちゃけお金にはなりません

     しかし、それでもまだ止めずに続けているのですが、その理由の一つには新しい発見があるからです。
     驚くべき事に、ネット上で受ける相談には、とんでもない常識レベルのものがあります。

     まず既に3件、ほぼ同内容の相談があったのですが、それは「ネットで見ず知らずの相手に対し自分の裸の画像を送ってしまったが、削除できないか」というもの。
     交渉するにせよ、まずはどうやって相手の身元を特定するかという点で難問です。相談者が未成年者であれば、児童ポルノ法違反や各都道府県の青少年保護条例違反として警察に捜査してもらうか、などと検討するところですが、信じられないことに成人でも騙されて裸の写真を送ってしまったという方もいらっしゃいます。もちろん、サイトの管理者は利用者の情報について任意の開示をしませんし、法的にも開示の義務はないと考えられます。
     そうすると、もう相手に連絡を取ることすらできないことも珍しくありません。
     
     ダマシの手口としては、匿名同士がネットで知り合って信頼関係を築き、そうした中で相手から裸の写真の交換を持ちかけられ(おかしいぞ、と思わない人が一定数いるのです)、相手から先に裸の画像が送られてきたので相手を信用してしまい、自分の裸の画像を送ってしまったというもの。なお、相手が信用させようと送ってきた裸の画像は、どうやらネットで拾ってきた別人の画像と思われます。
     さらに、私が受けた3件の相談にはなかったのですが、送った写真をネタにして脅迫されるという被害もあるとのこと。ここまでくれば、警察も重い腰を上げるとは思うのですが。
     残念ですが、ネットの海に流出した裸の画像を回収することは絶望的でしょう。


     もう一つ、これも変だと思わなかったの?という話で、「お金が必要になり、ネット上から融資の申し込みをしたところ、口座確認のためにキャッシュカードを送れと言われたので送った。その後、電話があったが、金を貸してもらえなかった」という相談がありました。
     私「その電話、ひょっとして暗証番号を聞かれませんでしたか?」  相談者「聞かれました」

     このような行為は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)違反です。売買された個人の銀行口座が振り込めサギ等で悪用される事例が多いことから、通帳・カードを有償で譲渡したり、または無償でも悪用されることを分かってて譲渡したりすることは法律で禁じられています
     なお相談の事例のように、お金を貸してもらう約束をしただけで、実際にお金を受け取っていない状況でもアウトです。
     口座番号から契約者が特定され、捜査の手が及ぶのも時間の問題ですので、自分から警察に出頭して、事情を話した方が良いのではないかと回答しました。


     しかし、義務教育は何をやっているんだろう。裸の画像にせよ、キャッシュカードにせよ、知らない人にそんなモノ送るんじゃありません!と声を大にして説教したい。我々法律家ができることはせいぜい事後救済、どうにか事前に落とし穴に落ちないよう教育できないものか。 

     でも、これを義務教育の責任にするのは酷かもしれません。常識的な判断力というのは、義務教育だけで涵養できるものでもないでしょうし、口座売買が明確に違法になったのも数年前の話です。

     バイトを中心とする労働関係の相談も多いのですが、 「お給料を払ってもらえません」「バイトを辞められません」という、そんなの法律を知らずとも「おかしい!」と思わなきゃ、というレベルでの相談もあったりします。

     「そんなの常識。分からないのは自己責任。」という言葉で突き放して目をつぶるのは簡単です。でも、おそらく身近に相談する相手がなく、見たこともない遠方の弁護士にアプリで相談する人たちがいることも事実なのです。これもまた、アプリでの回答を止められない理由の一つ。

     そんな訳で、私にとっての「弁護士トーク」は、もはやプロボノ(公益活動)になってしまっているのでした。
     でもそんなに余裕があるわけじゃないので、ほどほどのところで止めますけどね。

     このアプリはなんちゃらドットコムとも違い、回答数に応じて変なランキングに載らないのも気楽でいいです。


    セルコホーム ズーパラダイス八木山
     仙台市八木山動物公園の名称が、ネーミングライツ事業により「セルコホーム ズーパラダイス八木山」という愛称になりました。
     弊事務所ではオフィシャルサポーターをさせていただいている関係で市からお知らせの手紙が来てましたので、ブログにも書いておこうと思います。 
     ネーミングライツについては、だいぶ前に県民会館も東京何とかという名前に変わりましたし(いまだ良く覚えていない)、定着するまでは相当な時間がかかるでしょうね。

     「お父さん、休みだしどこかに連れて行ってよ」
     「よし、それなら『セルコホーム ズーパラダイス八木山』に行こうか」
     「わーい! 『セルコホーム ズーパラダイス八木山』だー!」

    みたいな会話も、あと10年くらい経てばご家庭で交わされることでしょう。

     ちょっとした思いつきですが、われわれの所属する仙台弁護士会も、赤字の法律相談センターのネーミングライツを売却してはどうでしょうか。
     例えば気仙沼の相談センターを「マギー審司記念・三浦電気法律相談センター」とかにすれば(ちなみに、センターの隣がマギー審司さんの実家である三浦電気さんで、駐車場にでっかい耳付きの営業車が停まっている)、市民からの親しみが得られやすいのではないかと思うのです。

     さらに余談ですが、「市民からの親しみ」とか「市民からの信頼」とかのマジックワードを出すと、弁護士会というのは不思議と思考停止して突き進むことが多いので、ネーミングライツもあり得る考えではないかと密かに思ったりしているのです。

     古川の相談センターは「わんや産婦人科」さんの隣にあるので、天丼チェーンの「てんや」に協力を依頼し「てんや法律相談センター」にすれば、見た人は思わず「♪ぴっぴっピーヨコちゃんじゃ、アヒルじゃガーガー」と口ずさみながら入ってしまいたくなるはず。

     石巻の相談センターは、同市に本社のある上場企業の山大さんに買ってもらうとか。
     大河原町の県南法律相談センターとか、登米の相談センターになると…うーん、ネーミングライツを買ってくれそうな地元の企業が思いつかない。
     いっそのことア●ィー●にでも売るか、あそこなら宣伝のためなら気前よく金を出しそう。でも懲戒のたびに相談センターの看板を掛け替える羽目になると費用がかさみそうです。

     しかしまあ、他人物売買の話をあれこれ考えてもしょうがないですね。

    【仙台弁護士会】被災者のための無料電話相談、終了へ
     仙台弁護士会が平成27年より実施してきた、東日本大震災の被災者を対象とした電話による無料法律相談が本年3月末をもって終了するとのことです。(ただし、県内6か所の法律相談センターでの面談による無料相談は継続。 詳しくは仙台弁護士会のサイトへ)
     週1回の実施でしたが、おそらく利用者が減ってきていたのでしょう。

     他方、高齢者の電話無料相談は継続中のようです。
     ところで、この「高齢者」が何歳以上の方を指すのかが「いらすとや」のイラストを使った広報ビラには書いてないのですが、会員専用ページで実施細則を確認したところ、「65歳以上」か、「65歳に満たなくても、事案の性質上、高齢者電話相談による支援が相当と考えられる者」か、前二者の「親族、支援者」ということのようです。
     そうすると、65歳以上の親族のおられる方が電話をして「身内の代理で相談したい」と言えばほぼフリーパスで

     せっかくなので会のサイトを見て自分なりに整理してみたのですが、弁護士会で無料電話相談を実施しているジャンルは、交通事故、犯罪被害者、子ども悩みごと電話相談、無戸籍問題。
     面談で無料相談を実施している分野は、貸金、借地借家の問題、労働問題、二重ローン問題、離婚、行政などほぼ全ての民事事件(ここまで震災特例法による無料相談。平成30年3月31日で終了予定)、労働と生活保護に関する相談があります。

     これ以外、例えば法人の相談や刑事事件の相談などは、原則に立ち返り30分5000円プラス税の相談料をいただくという形になるわけですが、どうも原則と例外がいつの間にか逆転したような気がしますね。震災特例法の無料相談の制度が始まって以降、法律相談料を相談者から直接受け取る機会がほとんどなくなりました。

     利用者側が「無料が当たり前」という認識になった後で、震災特例の無料相談が終了し「原則どおり有料になります」となった場合、相談センターの利用者の数がどうなるのか。おそらく減ることは間違いないので、将来的にセンターを維持していくためにもいろいろ努力が必要になるのでしょう。
     例えばAmazonみたいにプライム会員制度を導入して、「年会費いくらで法律相談何回でも無料」を謳うとかはどうですかね。何かアイデアはないものか。
    雑誌「冤罪File No.27」の逆転無罪事件
     日本で唯一の冤罪専門誌「冤罪File No.27」を読んでいたところ、仙台地裁古川支部(山口均裁判官)で有罪、仙台高裁(嶋原文雄裁判長)で逆転無罪となった事件が紹介されていました(検察側が控訴せず確定)。

     一審の山口裁判官がDNA鑑定の結果という固い物証によらず人証に乗っかり(一般的に、証言は記憶違い・記憶の減退その他の理由により、その取り扱いに注意しなくてはならないとされる)、しかもDNA鑑定の内容を「誤読」していたというのですから、その事実認定力には驚くばかりです。なお山口判事は東京高裁に栄転されたそうですが、こういう判決を出す裁判官をこの雑誌はマークしているので、いずれ同誌に再登場もあるかもしれません。

     他方で、そのDNA鑑定の証拠開示を検察側から引き出し(検察側は不利な証拠は自主的に出さない)、鑑定科学技術センターまでわざわざDNA鑑定の実習を受けに行った弁護人の活動には頭が下がるところ。
     控訴審の主任弁護人を務めた十河弘弁護士(仙台弁護士会)の談話が掲載されています。

     謙虚に専門家に頭を下げて教えを請うた弁護人の態度。
     証人尋問で専門家に疑問点をぶつける機会がありながら、スルーした上に思い込みで鑑定を誤読した裁判官の態度。

     戒めとしないといけませんね。
    映画『聖の青春』で話題、村山聖九段の扇子への疑問
     日本将棋連盟のデジタルショップで、間もなく映画が公開されることで話題の村山聖九段の扇子を販売しています。私が見たときには既に売り切れ、残念。
     http://item.rakuten.co.jp/shogi/1516223/

     もちろん今販売されている扇子は故人の直筆ではなく印刷された物ですが、そこに書かれた文字についてふと疑問が生じました。肩書きが「九段」となっているのですが、確か村山先生は現役A級八段のままで亡くなり、その死後に栄誉を称え九段が追贈されたはずではないかと。
     ちなみに、現役棋士が九段まで昇段するには、名人位を1期取る、竜王位を2期取る、八段昇段以降に一定数の勝ち星を積み重ねるなどの高いハードルがあります。

     ※ 将棋連盟の棋士データベース・村山九段のページ http://www.shogi.or.jp/player/pro/180.html

     そうすると、生前にご自身の肩書きについて「九段」とは書かなかったと思うのですが、そうなるとこの扇子に書かれた「九段」の肩書きはいったいどこから?

     すみませんね、どうにも細かいところが気になっちゃって。

    将棋棋士のカンニング疑惑、代理人弁護士の「次の一手」は?
     将棋ファンとして最近のニュース、本当に驚きました。
     三浦九段にかかっているカンニング疑惑について、本人が強く否定しており、また不正を示す直接の証拠がないようなので(週刊文春・週刊新潮の記事が出た10月20日現在)、なんともスッキリしません。

     ちなみに私は、中学生のときに「週刊将棋」の次の一手コーナーを通してアマ三段の免状をもらいましたが、それ以降はほとんど指していないので、たぶん今の棋力は初段もないと思います。詰め将棋は3手~5手詰めなら解けるけど、それ以上の手数は頭の中で動かすのが難しくなるレベルです。このように、スポーツ観戦のようにプレーヤーにはならず観戦だけを楽しむファン「観る将」というそうです。

     さて、このニュースの初期の報道では、三浦九段は弁護士に相談する旨のコメントを出しています。
     もしこういう問題で相談を受けた場合(私にそんな機会は絶対ないですが)、弁護士としては何をすべきなのか、この数日間いろいろと考えてみました。

     まずは、不正の疑いをかけられた根拠が何か、出場停止処分を下した日本将棋連盟側の主張の精査、連盟の内部規定の精査から始まると思います。連盟側にはどんな証拠があるのか、処分の決定が適正な手続きによるものか、という点を検討します。

     なお今回の出場停止処分について連盟の説明は、「カンニングをしたから」ではなく、「三浦九段が休場の意向を示しながら期限までに休場届を提出しなかったこと」を直接の理由としている点には注意が必要です。この点でも、言った言わないの事実関係のレベルで争いがあるようです。

     次に、やってないことを証明することはできないですが(悪魔の証明)、潔白であることをうかがわせる間接的な証拠を収集することになるでしょう。
     ここでやはり一番重要なのは、三浦九段の所持・使用するすべてのスマホとPCの解析だと考えます。
     そもそもカンニングの嫌疑について、その手段が「スマホそのものに強豪ソフトが入っていた」のか、「ソフトがPCに入っていて、それをスマホから遠隔操作したのか」すら特定されていないようです。
     そうすると、これが何らかの刑事事件であれば犯行の手段が特定されていない時点で、起訴すら無理筋でしょう。ただし、これは「無罪推定の原則」がはたらく刑事事件での話であり、出場停止処分の有効性を争う民事訴訟では違う判断も十分ありうるところです。

     いずれにせよ、コンピュータの専門家に協力を依頼して、スマホとPCを解析してもらうこと。これに尽きるでしょう(なお通信履歴については民事での開示はかなり困難)。スマホやPCにソフトを消去した痕跡すらなければ、かなりシロ方向への証拠となると思います。さらに言えば公証人にも立ち会ってもらい、その様子について「事実実験公正証書」を作ってもらえば、さらに解析結果の信用性に箔がつくかと思います。

     この検証をしたとしても、「他にも隠しているスマホやPCがあるのではないか」という反論もありそうですが、これについては、やはり「ないことの証明はできない」としか言えません。あえて何かするなら、「提出した以外のスマホに関する通信料の引き落とし履歴が普段使いの銀行通帳にないこと」などを示せば、一応の再反論になりうるでしょうか。まあ、再々反論として「第三者名義のスマホを使ったか、通信料を現金で払ったのでは」ということも言えそうですが (将棋の「三手の読み」はダメでも、こういう主張と反論についての「三手の読み」なら私にもできる)。

     ただし、将棋連盟職員は三浦九段の自宅のPCについて任意提出を受けたが、三浦九段はスマホの提出は拒否したとの報道があります。ひょっとするとスマホに、未だ実戦に投入していないとっておきの新手・研究手順や、10歳以上年下の奥さんとのプライベートな写真が入っている可能性もあるので、不提出だけで直ちに怪しいとは断じることはできません。しかし、提出しないのは惜しいなという思いがします。


     以下、ここまでの報道による連盟側の主張と、考えられる反論を整理してみます。

     「ソフトが示した手と三浦九段の手の一致率が高いこと」が不正の疑いの根拠であれば、他人の棋譜での一致率を検証して、もし「他の人の対局でも一致率が高い場合がある」というデータがあれば三浦九段側に有力な間接証拠になるでしょう。「一致率という数字そのものに、証拠としての価値がない」などと反論していくことになるかと思います。

     「離席した回数・時間が多い」という点も、「それは対戦相手の印象の問題であり、どれだけ正確な数字があるのか」、との反論ができそうに思えます。

     「プロ棋士の視点からして、三浦九段の棋風(戦い方)とは違う手を指している」という連盟側の主張は、これは将棋界ではかなり有力な根拠なのでしょうが、仮に裁判になったとき、裁判官に理解してもらうことが少し難しいように思えます。「現に、多くのプロ棋士もソフトを指し手の研究に利用しており、棋風がソフトに似てくることはあり得る」という反論になるでしょうか。本当にそうなのかは、私の棋力では分かりません。

     「事情聴取でのしどろもどろな受け答え」については、私は「まあ三浦九段ならそういう場ではテンパっちゃうだろうな」という感想を持ちましたが、肝心な読み筋についてつじつまのあう説明ができていたのかがポイントでしょう。


     また、選びうる法的手段としては、竜王戦その他の棋戦に出場できる仮の地位があることの確認を求める保全手続や、得べかりし対局料について損害賠償、名誉毀損として慰謝料などを求める訴訟も考えられるところですが、そうなると三浦九段としては将棋連盟と全面戦争になりかねないところで、風評の悪化によるスポンサーとの関係も心配されるところです。そうすると、仮にシロでもクロでも、訴訟をするという選択はかなり心理的ハードルが高いのではないでしょうか。
     個人的には、連盟ではなくH本八段だけを名誉毀損で訴えると場外乱闘で面白くなると思うのですが、裁判をそそのかすことは職務倫理上できないので…。

     いずれにせよ、一将棋ファンとしてこの騒動の早い解決を願ってやみません。
     代わりに竜王戦に出場する丸山九段がどんな戦いをするか、どれだけ大量の食事を注文するかなど、将棋そのものとメシの話題で盛り上がりたいところです。

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