司法書士会主催のセミナー・映画上映会に参加
     少し日にちが経ってしまいましたが、先日の敬老の日に、宮城県司法書士会が主催するセミナーと映画上映会に参加してきました。
     せんだいメディアテークの7階にあるスタジオシアターが会場で、セミナーのタイトルは「司法書士による成年後見・相続セミナー」。同時上映の映画は、『僕がジョンと呼ばれるまで』。

     この映画は仙台放送の製作で、アメリカの認知症介護施設が舞台のドキュメンタリーです。家族がいたことすら覚えていない認知症の高齢者が、読み書き・計算などの「学習療法」を経て、症状が改善していく様子が描かれています。この学習療法は「脳トレ」の東北大学・川島隆太教授が生み出したもので、また映画内でも川島教授が登場するので、やや宣伝的な印象を受けないこともないのですが、それでも高齢者が劇的な変化を見せていたのは驚きでした。

     この日の午前の部は成年後見、午後は相続のセミナーだったのですが、ちょうど自分も成年後見制度についてセミナーの講師を頼まれていまして、午前の後見の部を拝聴しました。
     成年後見の分野では、正直言うと弁護士会より司法書士会の方が取り組みとしては先行しているので、司法書士会の取り組み方について勉強させていただきました。配布物のパンフレットが実に充実しており、感心することしきり。
     講義の方は、成年後見制度の概説とメリット・デメリットを分かりやすく解説するもので、会場に詰めかけた中高年の参加者も熱心に聞き入っている様子でした。

     細かいところで一点だけ気になったのですが(小舅みたいでごめんなさい)、配布されたレジュメの表で、「申立の際の本人の同意」について、「後見」は不要、「保佐」・「補助」は必要と記載されていたのが気になりました。

     正確には、保佐の場合は、その申立て自体には本人の同意は不要であり(補助開始について本人の同意を必要とする民法15条2項と、保佐開始について本人の同意について触れていない民法11条の対比)、保佐人にオプションとして「代理権付与の申立」をするときには本人の同意が必要です(民法876条の4第2項)。
     ですから、保佐では本人の同意が必要です、と書くのは不正確なんですよね。本当に細かいところですが。

     そんなことはともかく、このセミナーのすごいところは、内容からして主に中高年が対象なのに、無料託児サービスを用意していたところですね。たしか仙台弁護士会でも同じところで映画を上映するイベントをやっていましたが、予算の都合か主催する側に気配りがないのか、託児サービスはなかったように思います。
     イベントの企画力、集客力では弁護士会より司法書士会の方が一枚も二枚も上手ではないでしょうか。
    秋の花粉症
     先月末くらいからですね、ほぼ毎朝くしゃみが出るようになりました。この症状、たぶん花粉症です。

     涼しくなって、なにかイネ科の植物が花粉を飛ばしているんだろうな。
     


    ID:5lh2fd
    【独自調査】プロ野球ファンは株を買うべきか
     趣味はプロ野球観戦と株主優待制度という私ですが、そういえば楽天とかDeNAとか上場企業だよな・・・とか思い、株主優待で野球関係のものがどれだけあるか、また権利を取るのにいくら必要かについてちょっと調べてみました。

     本日現在の順位表の順で紹介。なお、優待制度は急な変更があり得ます。

    【ソフトバンク】東証9984
     野球関連の優待なし。

    【オリックス】東証8591
     公式戦ホームゲームを優待価格にて。例、B指定席(1・3塁)・大人 3,000円が1,000円に。
     9月9日現在株価1,588円×優待に必要な単元100株=158,800円必要。

    【日本ハム】東証2282
     指定する試合の内野席観戦チケット2名様分。
     9月9日現在株価2,175円×優待に必要な単元1,000株=2,175,000円必要。
     なお、東京ドームの主催試合について後記【巨人】の項参照。

    【ロッテ】 親会社非上場

    【西武ホールディングス】東証9024
     パ・リーグ公式戦内野指定席(引換券) 5枚 ご優待(無料)
     9月9日現在株価2,212円×優待に必要な単元1,000株=2,212,000円必要。

    【楽天】東証4755
     株主様限定東北楽天ゴールデンイーグルスグッズを抽選で6名様にプレゼント
     東北楽天ゴールデンイーグルス主催試合の観戦チケットを優待価格でご提供(バックネット裏席観戦チケットが前売券定価額より2割引で8枚まで)
     9月9日現在株価1,270円×優待に必要な単元100株=127,000円必要。

    【巨人】 東京ドーム 東証9681
     野球株主証の交付。東京ドームで開催されるプロ野球ペナントレース巨人および日本ハムの主催試合全試合に、お一人様1日1回利用可能。
     ●4,000株以上30,000株未満
      巨人戦では当日の立ち見券1枚を、日本ハム戦では外野席券1枚を発券。
     ●30,000株以上60,000株未満
      巨人戦では当日の指定席券C1枚を、日本ハム戦では指定席券1枚を発券いたします。
     ●60,000株以上
      巨人戦では当日の指定席券A1枚、または指定席券B1枚、もしくは指定席券C2枚、日本ハム戦では指定席券1枚を発券。
     9月9日現在株価507円×優待に必要な最低単元4000株=2,028,000円必要。

    【広島】 マツダ 東証7261 
     株主優待なし。

    【阪神】 阪神阪急HD 東証9042
     野球関連の優待なし。ただ、株主総会には当然出席できるので、チームの不振について質問するのもいいかも。
     参考まで、630円×1単元1,000株=63万必要。

    【DeNA】 東証2432
     ①3月31日現在の株主様に、ご所有株式数に応じて、横浜DeNAベイスターズが横浜スタジアムで主催するプロ野球公式戦を観戦できる株主優待証を贈呈。
      (1)100株以上300株未満  内野指定席(A)当日チケット、もしくは後日窓口にて当日チケットと交換できる引換券合計1枚
      (2)300株以上  内野指定席(A)当日チケット、もしくは後日窓口にて当日チケットと交換できる引換券合計2枚
     ②横浜DeNAベイスターズが横浜スタジアムで主催するプロ野球公式戦の内野指定席を500円引きで購入できる割引証を贈呈。
     9月9日現在株価1,282円×優待に必要な単元100株=128,200円必要。

    【中日】 親会社非上場

    【ヤクルト】東証2267
     9月末株主に神宮球場の東京ヤクルトスワローズ野球観戦
     「株主優待証(外野自由席)の提供」
     ※1試合につき外野自由席の入場券2枚まで引換可
     100株以上 年間2試合まで(開幕〜閉幕)
     1,000株以上 対戦するセ・リーグ5チームにつき2試合ずつ計10試合、プラス交流試合2試合で計12試合まで
     9月10日現在株価5,530円×優待に必要な単元100株=553,000円必要。


     こうやって見ますと、野球ファンにとって元が取れるほどお得ってほどのものはないですね。

     仙台市民としては楽天の株を買っとくかどうか。12月末までに買えば優待の権利を取れるのですが、どうも最近の買収策とかを見ていると先行きがどうなのか。私はしばらく株価が下がると見ているのですが。

    黒澤計男ほか『くるま菓子舗の相続と遺言』
     以前このブログで「磯野家の相続」を取り上げた際、冗談で「どこかの出版社で、コボちゃん一家を例に挙げて相続問題を解説していくような、パクリ類似の書籍を出そうというところはありませんか?(厚かましい)」などと書いたのですが、その後、映画『男はつらいよ』の舞台設定で相続を解説する本を見つけました。


    くるま菓子舗の相続と遺言くるま菓子舗の相続と遺言
    (2011/08/04)
    黒澤 計男

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     そういえば子どものころに映画やってたなという印象で、私自身は一度もちゃんと映画を見たことはないのですが、相続を考え始める中高年世代にはピッタリなのかもしれません。

     内容も、決して「磯野家の相続」の二番煎じに終始するわけではなく、例えば

    博が家を購入するとき、さくらが「おいちゃんがこの店を抵当に入れてお金を借りてくれた」と言っています。(第26作/寅次郎かもめ歌)この言葉から、現在の所有者は車竜造さん、つまりおいちゃんだと推測できます。』(18頁)

    などと、全48作の映画の台詞をピックアップし、権利関係や相続人となり得る兄弟・子の有無を考察していたりと、実に「寅さん」愛にあふれる内容となっています。寅さんの老後や葬儀はどうなるだろうか、などというコラムもあったり。
     このような考察は、むしろ『磯野家の謎』を彷彿とさせますね。

     ちなみに、車家の家系図はこのようなものだそうです(13頁)。
    torasan.jpg
     寅さんとさくらが半血兄弟だったとは知りませんでした。これって常識なんですかね。
     
     その他、類書であまり見かけない記述として、第2順位の直系尊属が相続人となる場合で、両親ともに死亡、祖父母4名のうち3名が生存というときに、代襲相続ではないので法定相続分は3分の1ずつになることがきちんと説明されています。 実は恥ずかしながら私も、弁護士なり立てのころまで勘違いしていたところ。
    torasan2.jpg

     2011年に出版された本のため、非嫡出子の法定相続分については改正未対応ですが、その点を差し引いても十分評価できる一冊だと思いました。
    似ていると思う
     まったく無関係な話で恐縮ですが、子ども向け絵本のロングセラー、『いない いない ばあ』と、


    いないいないばあ (松谷みよ子あかちゃんの本)いないいないばあ (松谷みよ子あかちゃんの本)
    (1967/04/15)
    松谷 みよ子

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     漫☆画太郎先生の絵は、似ていると思う。というより、そうとしか見えなくなってしまい困ってます。


    罪と罰 4 (BUNCH COMICS)罪と罰 4 (BUNCH COMICS)
    (2013/04/09)
    漫F画太郎、ドストエフスキー 他

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    岡口基一『要件事実入門』が売ってないので別の要件事実本を読んでみた
     最近、『要件事実マニュアル』で知られる岡口基一判事が『要件事実入門』を出版されたとのことで、首都圏の弁護士やロースクール生による露骨なステマ絶賛のレビューをよく見かけます。
     
     しかしながら、まだ当地仙台の書店では見かけなかったので、その代わりにこんな本を取り上げてみることにしました。


    なにわの司法書士早山俊介の事件ファイルなにわの司法書士早山俊介の事件ファイル
    (2010/03)
    庵谷 恭三

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     要件事実について、とんでもない間違いが平気で書いてあるという点で(あるいは、司法書士業界にもう一つの要件事実論があったというべきか)、実に驚くべき内容でした。

     本書は、司法書士でありながら30数年に余り訴訟業務を手がけてきた著者が、司法書士に対する研修会で使った訴訟記録を推理小説の形に手直ししたもの。
     「本書を読んでいただければ、弁護士でなくても、司法書士でなくても、誰もが、たとえ手さぐりであっても、本人訴訟ができるのだとの自信を持っていただけるものと確信しています。」(はしがき)という言葉の端々から、著者の自信のほどが読み取れるところ。

     しかし残念ながら、著者の目論見は達成できたとはいえません。

     この本のひどい点その1。要件事実が間違いだらけ。
     本書は、主人公である司法書士の早山が様々な事件を依頼され、訴状や答弁書を作成していくというストーリーです。各章末のコラムでは事件ごとに要件事実を整理しているのですが、貸金返還請求で「弁済期日未到来の抗弁」(111頁、345頁)や、売買代金請求で「(2)売主Xの再抗弁 (A)弁済の抗弁に対して 弁済の事実がない。」(385頁)などと、トンチンカンな記述に出くわします。

     さらに極めつけは、これ(353頁)。
    mukendairi.jpg
     伝説の「無権代理の抗弁」が登場しました! (ついでに言うとそのすぐ下、「(B)Yからの代理権消滅の抗弁」の①は不要であり誤り)
     「無権代理の抗弁」というのは、いわば要件事実の世界での一発ギャグのようなものです。一般の方にも分かるように言うと、これは科学論文に「S●AP細胞はありまぁす。はっけん!」などと書かれているようなものであり、もう聞いただけで失笑間違いなし。これを堂々と掲載する文献に出会えたことは奇跡です。

     しかし、なぜこんな間違いだらけなのか。

     本書154頁以下には、「抗弁の繰り返しとなった事例」と題するコラムがあるのですが、内容はというとE、R、D、T・・・と続いていった事案ではなく、何度も準備書面の応酬があっただけの事案。
     「抗弁」とは請求原因事実と両立しつつ、その法律効果を排斥する別個の事実をいうものですが、どうやら著者は、「抗弁」の意味を単なる「反論」のことと誤解しているようなのです。

     このような理解の方が、司法書士会で訴訟実務研修の講師を務めてたというのですから、何というか・・・。

     その他にも要件事実の誤りはいくつかあり、私が気づいたものでは
    ・173頁 再抗弁の1「瑕疵は存在しない」は、再抗弁ではない
    ・372頁 (2)(B)賃貸人Xの再抗弁「承諾の事実はない」は、同じく再抗弁ではない
    ・346~347頁
     「(H)確定期限未到来の抗弁」、「(I)不確定期限の抗弁」などというものはない
     「(K)錯誤の抗弁」で③無効の主張は不要
     「(4)Xの再抗弁」で、(A)①本旨弁済でないこと②当該債権と無関係の弁済であることは再抗弁ではない
    など。この他にもあるかもしれません。

     また、保証債務履行請求の請求原因に、①元本債権の発生原因事実と②保証契約の締結しか挙げられていません(359頁)。
     ここでは、平成17年4月1日以降の保証契約であれば、③保証が書面or電磁的記録をもってなされたこと(民法446条2項、3項)を挙げなくてはならないことを指摘する必要があるでしょう。
     ただし、本書での具体的記載例では平成14年に保証契約が成立となっているので、確かにその場合は①②だけで足りるのですが、本書は平成22年の刊行ですから上記③に触れないのは片手落ちでしょう。

     ひどい点その2。懲戒待ったなしの倫理違反。
     第3話で、広瀬雅美から貸金返還請求訴訟の相談を受けた主人公の司法書士・早山。
     雅美は返還請求を受けた側で、不倫相手の会社社長・海浦から小遣いとしてもらった300万円を返せと迫られている。雅美の夫・一郎は税理士で、海浦社長の顧問を務めていることをきっかけに交際が始まった。雅美は、海浦社長に撮られた裸の写真をもとに脅され、小遣いの300万円を借りたものとする借用書を事後的に書かされたのだった。
     早山は、答弁書の作成を受任した。

     その次の第4話。早山は、海浦社長の顧問税理士・広瀬一郎が原告となっている建物明渡訴訟で、被告・田植加代からの相談を受ける。
     原告が雅美の夫であることを知るやいなや、田植との間でこのようなやりとりがなされる。

      「広瀬雅美さんという方のことをご存じですか」
      「はい、知っています」
      「広瀬雅美さんが、海浦社長と不倫関係にあることを聞いていますか」


     司法書士の世界には守秘義務はないんかい! と突っ込まざるを得ません。これはひどいぞ。
     ところが別のページでは、早山は司法書士の守秘義務について説明し、「どんな秘密も、この引き締まったお腹からは出られません」(321頁)などとぬかします。
     どの口が言うかな。

     そもそも、既に受けた事件の依頼者の配偶者が、別事件で相手方になっていると知った時点で、話を打ち切るべきではないですかね。この点は早山も考えてはいるのですが、夫婦関係が破綻しているからいいのだ、と自分を納得させて事件を受任しています。でも、夫婦関係が破綻しているかどうかは線引きが難しいですし、やはり信頼関係を害するとして問題ではないでしょうか。

     この他、主人公は権利濫用が明白な1㎡の土地の明渡請求事件で原告の依頼を受けていますが(第2話)、これも倫理的にどうなんだろうと言う気がします。
     小説とは言え、倫理スレスレの、グレーゾーンの依頼をなぜ主人公はホイホイ受けてしまうのか。金なのか。

     ちなみに物語のプロローグでは、依頼者の意向を最優先にし、老夫婦を建物から立ち退かせたある弁護士の事例を取り上げ、「しかし、家主から頼まれて、このような極限までのことをしなくてはならなかったのは、結局、お金に対する執着なのだ。俊介はこのような法律家にはなりたくないと思う。」(4頁)などと主人公は思っています。
     どの口が言うかな。

     ひどい点その3。推理小説としてもひどい。
     ネタバレは避けたいと思いますが、本書を推理小説として見た場合の最大の謎は、銀行強盗の所持していた猟銃はどこに消えたのかという点です。なぜこんな本が世に出たのかも謎ですけどね。

     なお銀行強盗事件の発生当時、銀行の応接室では不動産売買の代金決済と登記のやりとりがなされていました。その場になぜか当事者の一人がゴルフのキャディーバッグを持ち込んでいましたが読むときには気にしちゃダメです。

     純粋に小説としても、当事者の会話が平たく続いて、しかも大阪弁のつまらない掛け合い漫才を活字で読まされることから、苦痛で仕方ありませんでした。
     『要件事実入門』が買えなかったからといって、間違っても代わりにこの本で勉強しようなんて考えたらいけませんよ。まだ読んでませんが、たぶん『要件事実入門』の方が絶対にいいはず。
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