柔道整復師は動物の脱臼や肉離れを治せるか
     いつもお世話になっている整骨院の先生から聞いた話です。
     
     柔道整復師や鍼灸師の先生のところにも、「うちの動物を治療してくれないか」という相談があるそうです。肉離れや脱臼をしたり、リハビリをするのは人間だけではありません。しかし、頼まれても断らざるを得ないといいます。
     
     民法上は、動物は「物」であるので、その飼い主(所有者)が同意すれば、何をしたって構わないのが原則のはずです。もちろん殺したり虐待すれば動物愛護法の問題はありますが。

     しかし、獣医師法17条では、「獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずらその他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る。)の診療を業務としてはならない。」と規定されております。
     つまり、獣医師の資格がなければ、脱臼した犬や猫の関節を入れたり、肉離れをした馬に鍼治療を行ったりしてはなりません。違反したら、2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(併科もあり)。

     ただし、獣医師の育成過程では、柔道整復術などの技術による脱臼や肉離れの治療法については教育がされておらず、動物の筋肉・関節などの仕組みに関する知識は、柔道整復師の方に一日の長があるそうです。

     この点、医師であれば、人間の生命・健康への害が及ぶ危険性を鑑み、医師しか医療行為ができないことに反対する方はいないと思います。
     これに対し、動物の治療は、獣医師の資格を有する者以外を、法律で禁止するまでの必要性はあるのでしょうか。人間に較べ動物の命が軽いとまでは言いません。動物の生命・健康を保護する必要性はあります。
     しかし、動物の飼い主が、(獣医師以外の)整体や鍼灸の技術によって動物を治療させたいと考えたときに、その選択を禁止することまで必要なのでしょうか。飼い主の選択の自由をも規制することになるのです。

     例えば、動物の治療を業とする者には「獣医師資格の有無」を明示させれば、規制の目的は達成できるのではないでしょうか。これなら、「うちの家畜・ペットは獣医師資格のない者には診せたくない」という人は、必ず獣医師を選べます。獣医師資格のない者に治療を任せ、もし功を奏さないとしてもそれは自己責任となります。

     結局のところ、どこまで法律で守り、どこから自己責任として突き放すかという問題です。

     ついでに、司法試験合格者増加による弁護士の質の低下の問題や、弁護士を選ぶ側の自己責任が問われる時代になることまで話を発展させようかと思いましたが、忙しいので今日はこの辺で。
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