改正薬事法東京地裁判決から直接対面の原則を考える
     おばんです。弁護士の村上匠です。
     うちの事務所もそうですが、ほとんどの弁護士事務所は電話やメールでの新規法律相談を受け付けません
     なぜでしょうか。

     ここで、業界は違えど、注目すべき判決がありました。
     昨年6月に改正薬事法が施行されたことにより、医薬品の一部がネット通販では買えなくなりましたが、その法改正の是非が争われる行政訴訟がありました。

    ネットの「常識」司法に通ぜず
    http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100408/213907/

    日経ビジネスオンライン

     今年3月30日、東京地裁は、原告である健康関連商品ネット販売大手2社の請求をいずれも退ける判決を下しました。
     その理由としては、
    ●医薬品の適切な選択・適正な使用がなされない場合、薬害により償うことができない重大な損害が発生する恐れがあること
    ●そのため改正薬事法は購入の利便性より使用上の安全性を優先させるという考慮がなされ、直接対面販売を義務付けていること
    ●有資格者が自ら購入者と直接対面することで、その様子等(年齢、性別、体格、顔色、外見、行動、態度、しぐさ等々)を見聞きして直接の視認及び能動的・双方向的な聴取を即時・確実に行うことを通じて、販売者側が購入者側の属性・状態等を的確に把握し、それに応じて情報提供の要否・内容を的確に判断出来ること
    ●ネットや電話では、能動的に情報を引き出すことや真偽の判断が困難であること
    ケンコーコムのサイトからの要約。詳しく知りたい方は原文をあたってください)
    が挙げられています。

     弁護士の法律相談でも、同じことが言えると思います。
     全く知らない人から電話やメールで相談を持ちかけられても、責任ある回答ができないのです。

     例えば、契約の主体が成人ではなく未成年者であれば、契約の取消権があります。
     行為の主体や法律行為によって消滅時効の期間も変わってきます。
     似たような事例でも、AさんとBさんとでは結論が違うことがザラにあります。

     そして、間違った回答によって重大な損害が生じる危険性も、もちろんありますよね。
     本当なら相続できた財産を相続できなくなったり、本当なら負わなくてよい借金を負ったり。
     お金だけなら償う余地もあるでしょうが、借金が原因で会社が倒産したり一家離散とかになってしまったら・・・。

     現在、一部でテレビ電話による法律相談の実験がされているとのことです。
     直接対面に負けず劣らず、口調や仕草から相談者の情報をつかめるものなのでしょうか。
     どんな感じなのか、一度やってみたいですね。

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    【2012年4月26日追記】
     本日、上記裁判の控訴審で、結論を逆にする判決が出ました(医薬品のネット販売を認める)。おそらく最高裁まで行くでしょう。
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