島田荘司『アルカトラズ幻想』
    アルカトラズ幻想アルカトラズ幻想
    (2012/09/23)
    島田 荘司

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     ここ数日、この本のせいで夜更かししてしまい寝不足でした。
     著者は本格ミステリの旗手ですが、ミステリでありながら歴史秘話のような著作も多数あり、本書もそこに位置づけられます。

     物語の第1章は1939年のアメリカ。猟奇的な処置をされた遺体が発見されるところから始まり、「犯人はなぜそのようなことをしたのか」という謎が提示されます。そして第2章ではいきなり学術論文が始まり、恐竜の絶滅した理由についての新説が提示されます。いったい自分は何の本を読んでいるんだろうと混乱しそうになりますが、この論文が犯人の特定につながります。

     第3章からは場面が変わって、犯人がアルカトラズの刑務所に送られた後の話に。犯人は脱獄を図りますが、その際に不思議な世界へと迷い込んでしまいます。「ここはどこ、あなたは誰」というのが後半の最大の謎。推理小説の分類には、フーダニット(誰が殺した)、ハウダニット(どうやって殺した)というのはありますが、ホエア・イズ・ヒア、というのはあるんですかね。

     これは推理小説ではなく実は幻想小説ではないのか、あるいは夢オチなのではないかと疑いたくなる話なのに、合理的な解決へと見事に着地してしまう。島田作品ではよくあることですが、さながらジェットコースターに乗せられて、目もくらむ高所から一気に疾走していくような感覚に陥ります。本作でもアクロバティックな展開を堪能しました。やっぱり島田荘司は面白い。
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