結局、放置車両にはどう対処すればいいのか
     マンションの敷地内や駐車場にある持ち主不明の放置車両、どうしたらいいでしょうかという相談を受けることがあります。公道であれば警察に通報して終わりですが、私有地だと警察もなかなか手が出せません。

     弁護士として頭を悩ませるのは、まず(1)自力救済として許される範囲はどこまでかという問題と、(2)所有者をどうやって特定するかという問題です。

    (1)自力救済

     勝手に処分(損害賠償を請求されるおそれ)、ボコボコに蹴飛ばす(器物損壊罪に問われるおそれ、ただし親告罪)というのは基本的にアウト。逆に言えば、後日持ち主が現れる可能性がないくらいの期間だけ放置されていれば・・・、ということ。
     警告の張り紙は、接着剤が落ちにくいような粘着力の強いもので貼ってしまうと器物損壊の問題あり。タイヤをロックしてしまう、空気を抜いてしまうのは、逆に車を使用できない損害について賠償などのトラブルに発展する恐れがあるので、お勧めしない。
     汚い話ですが、くそみそな話(※)でお茶を濁したりすることもありました。

    (※ 洗い落とせるので、車に味噌を塗った行為について警察が器物損壊罪での立件を見送ったというニュースがあった。なお、食器に放尿した行為について、経済的な効用を害するとして器物損壊罪が成立するとした判例がある。つまり、くそみそには違いがあるということで、法律相談で客を笑わすネタのひとつ)

     弁護士は違法行為をそそのかしただけで懲戒事由になりますし、最近は法律相談を無断録音する人もいるので、一見さんの相談では滅多なことは言えません。せいぜい、何回でも警告文を挟んでおくこと、違法駐車の時間を記録すること、状態を写真に撮影しておくこと等、合法的な範囲での無難な回答くらいです。

    (2)所有者の特定

     違法駐車の主に損害賠償を請求するには、車の持ち主が分からないといけません。

     平成19年に規則が変わり、自動車登録番号(ナンバープレートの番号)と車台番号(ボンネットの中)の両方が分からないと、運輸局では登録事項を教えないことになりました。放置車両のボンネットを勝手に開けるわけにも行かないので、事実上、手も足も出せないまま、うやむやに終わってしまうこともありました。

     ただ最近知ったのですが、東北運輸局宮城支局のサイトによれば、私有地における車両放置の場合について、「私有地放置車両関係位置図」を添付すれば、車体番号が分からなくても登録番号のみで登録事項証明書を出せる場合があるとのことです。

     なお、軽自動車は運輸局ではなく軽自動車検査協会の管轄で、上記の方法によることはできません。ややこしい。
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