相続税対策、簡単に言うけど
     ある税理士が書いた相続対策の本を読んでいたら、こんなことが書いてありました、

     いわく、相続税対策には、銀行からお金を借りてアパートを建てることが有効です。土地が路線価の80%、建物が固定資産評価額の70%となり、不動産の評価額が下がります。
     一つの土地をフェンスで区切り、一方に自宅を建て妻にて、もう一方にはアパートを建てて子供に相続させましょう。細長い土地は評価額が下がります。
     あなたも妻も亡くなって子供が相続したときには、アパートも古くなっているので取り壊して、一つの土地に戻します・・・。


     簡単に言うなあ。

     賃貸アパートを取り壊すと簡単に言うけど、アパートの住人の立退き問題はどうするのか。一人でも頑として引っ越さないという人がいたら最終的には訴訟しかないけど、大家側に明渡しを求める正当事由があるといえるか。
     立退料の額にもよりますが、判決で明渡しが認められるかは微妙にも思えます。特に、借主に自己使用の必要性が高い場合には、いつまでも居座られる危険が高まります。

     つまり、せっかくの相続税対策なのに、明渡しに長い時間や裁判費用・立退料がかかる、しかも確実に明渡しを求められないこともあるのでは、必ずしも得策にはならない訳です。
     震災以降特に増えましたが、明渡しの交渉や訴訟を何件もやっている身としては、どうしても引っかかる記載でした。


     ちなみに相続対策の本を著者で分類すると、(1)弁護士が書いたもの、(2)税理士・FPが書いたもの、(3)その他(信託銀行、司法書士、コンサルタントやカウンセラーなどの民間資格者)の3つに大別できます。

     (1)は、実例に基づく相続に起こりがちなトラブルと、その予防法・対処法の記載が強みといえます。
     (2)については、お金の絡む部分、相続税対策については勉強になるのですが、実際にトラブルが生じてからの記載や法律については記載内容が甘いところがあるのは否めません。やはりそれは専門分野の違いというべきでしょう。
     (3)も何冊か読んでいますが、信託銀行の遺言信託や司法書士の相続登記の本を除けば、あまり参考になったケースは・・・。入門として読む分にはいいかもしれませんが、片手落ちな記載も目立つところです。

     相続問題を抱えている方は、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。弁護士会の法律相談センターや、村上事務所での法律相談もおすすめ(広告)。
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