『遺産相続図鑑』

    遺産相続図鑑遺産相続図鑑
    (2012/10/20)
    岩田 佑介

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     非士業による相続問題の解説書。初心者向きだが内容が薄く、最低限必要と思われる情報が抜け落ちている点でおすすめできない。

     例えば、相続放棄ができるのは被相続人の死亡を知ってから3か月(65頁)というのは誤りではないが、放棄の期間を伸長できることや、多額の借金があることが3か月経過後に発覚した場合には熟慮期間の始期を動かせる可能性があることにも触れる必要があるだろう。あたかも3か月が過ぎたら単純承認、それでおしまいのように読めてしまう。

     相続財産の調査(80頁)では、例えば不動産なら固定資産税の割賦を見たり、名寄帳を見たりという方法すら書いていない。

     また、内縁の夫が急逝した場合、内縁の妻が身ごもっている胎児は認知されていたので相続権があるという例(102頁)では、仮に胎児認知をしていなかったとしても死後認知(裁判による認知)という制度もあることについても触れる必要があるだろう。
     もし私がこのあたりを執筆するなら、今では妊娠中でも胎児のDNA鑑定ができること等もあわせて書きたい。

     さらに、「非嫡出子」(ひちゃくしゅつし・女へん)が「非摘出子」(手へん)になっていたり、「法廷相続分」などの誤植も気になるところ。

     非嫡出子の法定相続分についての違憲判断前に出た本であるため、この点のアップデートも必要だろう。今あえて買う本ではないか。


     ところで、相続人の中に行方不明の者がいる場合に、「法務局の供託所に失踪者の法定相続分を供託しておくことも可能です。」(60頁)とさらっと書かれていたが、実際にできるのだろうか?
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