グリーフケア・アドバイザー2級認定講座を修了(後編)
     引き続き、グリーフケア・アドバイザー2級認定講座の話です。

     講座の会場は、司法試験の予備校としても有名な伊藤塾の渋谷校。2級の講座は10時半から4時まで、1日で講義を行います。
     参加者の数は150~160名くらいで、年齢層はばらついており、男女比は3対7くらいでしょうか。参加者の持参していた本などからして、どうやら看護に従事している方が多いようでした。北は北海道、南は大分・熊本からこの日のために東京まで受講しに来たというのですから、参加者の熱意のほどを感じます。
     なおこの講座はインターネットで申し込みを受け付けているのですが、申し込み開始時刻の30分後には既に定員が埋まり、自分はキャンセル待ちで参加することができたことを思い出しました。

     全4講で、そのうち2講は日本グリーフケア協会会長・宮林幸江先生(自治医科大学看護学部教授)による「グリーフの知識と実践」、1講は同協会理事の関本昭治医師によるグリーフの歴史、残る1講が萱津公子先生(長野大学社会福祉学部教授)による「悲嘆とプロセスの理解」。
     この講師陣のラインナップからも分かるとおり、いずれも学術的な裏付けのあるお話しばかりです。過去に受講してきた某民間資格(なんちゃらカウンセラー)とかの講師は、思えば適当なことをペラペラと喋っていたなと改めて思いました。

     今回の講義では、いずれの先生方も配偶者など大事な方をを亡くされたご自身の経験を踏まえ、専門性が高いところを初学者向けにかいつまんでお話しされていました。

     特に重要な点として宮林先生が強調されていたのが、「日本人の悲嘆の4つの反応」。
     ここで特に「日本人」に限定する理由は、例えば隣国の韓国の葬儀では我々の感覚からすればオーバーなくらい号泣することで悲嘆を表現したりなど、国民性によって悲嘆の現れ方が異なるからなんだそうです。

     では、日本人にはどのような悲嘆が現れるのか。

     第1に「思慕と空虚」。
     ふとしたときに故人を思い出したり、無意識に思い出が蘇り、虚しさを感じる。そのような心の動きです。いないはずの故人の存在感を感じる「ちらつき反応」、故人の生い立ちや学校や職場での言動を尋ねて回る「探索行動」もこれに分類されます。

     この話を聞いて、私は『さよならもいわずに』 (上野顕太郎、ビームコミックス)という漫画のエピソードを思い出しました。妻が急死した作者の実体験を漫画にした作品なのですが、作者は知り合う前の妻が写っている写真を求め、出身校を訪問する場面が出てきます。まさにこの「探索行動」です。
     それと、山崎まさよしの曲『One more time, One more chance』の中の「いつでも捜しているよ どっかに君の姿を」というフレーズもこれでしょうね。「いるはずもない」ことは頭では理解しながら、心が無意識に反応してしまう状態。

     悲嘆の反応の2つめ、「疎外感」。周囲は幸せそうなのに、自分だけが取り残されている感覚。

     3つめに「うつ的な不調」。食欲の低下、不眠など健康を害する反応が生じるため、周囲の方は気にかける必要があります。
     
     最後の4つめは方向性が逆で、「適応・対処への努力」。死別から立ち直ろうとする心の動きです。それ自体はいいのですが、得てして焦りの感情から、「やり過ぎ」になってしまうこと。
     このとき周囲が気をつけないといけないことは、本人は精一杯頑張って、辛い気持ちを我慢しているところに、良かれと思い「頑張って」と言ってしまうこと。かえって反発を招いてしまうそうです。「頑張っていますね」と共感を示すことが望ましいそうです。

     このような心身の反応が起こることを知っておくだけでも有用なことだと思います。
     また、研究によると、悲嘆の反応は4年半くらいは続くようです。
     「4年半」。東日本大震災から、この9月11日で4年半が過ぎたことが脳裏をよぎりました。この講座を主催する協会も、震災後に名取市の仮設住宅でグリーフケアの支援活動をされてきたそうです。

     そして、ケアの方法としては「傾聴と共感」。
     か…環境を整え、き…聴く、く…詳しい方法を伝えるなどグリーフケア実践の「かきくけこ」や、ポイントなどが解説されました。


     ところで、講師の宮林先生と名刺交換をさせていただく機会があったのですが、その際、「以前に仙台の弁護士で鈴木先生という方が受講されていました」とうかがいました。
     鈴木姓はけっこういますが、あたりをつけて「鈴木覚先生ですか?」と尋ねるところビンゴ。「『必要なんです』と仰られていました」とのことです。私がようやく一端を知るようになったグリーフケア、既に理解していらっしゃる先生がいたのはちょっと嬉しいですね。

     ゆっくりお話しできる時間がなかったのでほんのご挨拶程度で失礼させていただきましたが、実に有意義な講座だったと思います。大変勉強になりました。
     講師の皆様に御礼を申し上げます。
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