「武富士のDIP型会社更生」で、読み返したい2冊の新書
     おはようございます。弁護士の村上匠です。
     武富士が「DIP型会社更生」の方向で調整しているというニュースを聞き、読み返そうと思い自宅の本棚から2冊の本を取り出してきました。

     1冊目はこちら。
    事業再生―会社が破綻する前に (岩波新書)事業再生―会社が破綻する前に (岩波新書)
    (2006/01)
    高木 新二郎

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     この本は、事業再生の法制度の第一人者が、会社更生法も含め倒産法や「再建法」について解説するものです。
     「DIP」とはDebtor in Possessionの略で、訳語では「占有継続債務者」。アメリカ連邦倒産法11条(チャプター・イレブンという言葉はリーマンショックのニュースで良く目にしましたね)に出てくる用語で、経営者が地位を失わないことを原則とすることで、再建手続の申立をしやすくする趣旨の規定なのだそうです。
     一から会社更生法や民事再生法を勉強したい人におすすめです。

     もう1冊ご紹介するのはこちら。
    消費者金融―実態と救済 (岩波新書)消費者金融―実態と救済 (岩波新書)
    (2002/04)
    宇都宮 健児

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     現・日弁連会長の宇都宮先生が、2002年に出版した新書です。当時はテレビをつければ消費者金融のCMを目にしない日はないくらい、サラ金の我が世の春でした。そのような状況下で、多重債務問題の第一人者とも言うべき宇都宮弁護士が警鐘を鳴らした一冊です。
     今改めて読み返しますと、この本に出てくる提言の相当数が実現していることに驚かされます。

    ●出資法の改正――出資法の上限金利の引き下げ・・・実現(グレーゾーン金利廃止)
    △利息制限法の上限金利の引き下げ・・・今のところ動きなし
    ●個人信用情報機関の情報漏れを防ぐ法律の制定・・・実現(貸金業法改正で指定信用情報機関制度が導入)
    ●破産法改正・・・実現(自由財産確保、個別執行の禁止)
    △サラ金のCM規制・・・道半ば
    ●相談窓口の拡充・・・実現(各地の弁護士会で多重債務問題の無料相談実施など)
    ●ヤミ金の徹底的な取り締まり・・・相当実現(警察が民事不介入を言わなくなるなど)
    ●低利融資制度の充実・・・実現(平成21年より「新たな(第2の)セーフティネット」制度スタート。連帯保証人なしにブラックリスト対象者へ低利貸し付け)
    △子どものころからの消費者教育・・・道半ば

     まとめてみましたが、すごいですね。ほんの数年でこれだけの公約達成は、並みの政治家ではできない話です。消費者運動の力を思い知らされました。

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