ソシャゲの課金ガチャ問題は第2の過払いブームを呼ぶか(消極)
     昨日のブログ記事を書いた後、その日の読売新聞の夕刊に同じ問題の記事があったそうで、やはりタイムリーな問題なんだなと改めて感じました。

     読売オンライン「後絶たない課金トラブル、コンプガチャは禁止に」2016年02月18日 20時00分
     http://www.yomiuri.co.jp/national/20160218-OYT1T50062.html


     で、昨日の記事の後に指摘を受けたのですが、23条照会をしたとして回答拒否されたらどうするかという問題があります。

     弁護士法という法律に基づく制度ですので、当然に照会を受けた側としては回答義務があると解釈されているのですが、回答拒否や無回答に対する直接の制裁手段(過料とか第三者によるガサ入れとか)がないので、統計によると数%の割合で回答が出てこないことがあります。

     この回答拒否について不法行為が成立するか争われた事件が何件かあるのですが、事案によってケースバイケース、他の弁護士ブログにもたくさんあるので「23条照会 不法行為」などでググってください。

     要するに、回答拒否を不法行為だとして訴えても、必ず勝てるかは現状分からないという状況です。

     しかし、そこは一度訴えてみないと分からない。
     私見ですが、これはかつての過払い問題での、貸金業者による取引履歴の不開示に場面が類似しており、回答拒否が不法行為を成立する可能性は高いと思います。
     貸金業者による取引履歴の不開示問題については、平成17年の最高裁判例で、信義則上、取引履歴の開示義務が認められました(その後、貸金業法の改正で開示義務が規定された)。判決を勝ち取った先人たちに心から敬意。

     さて、このあたりの理屈を何とか活用できないか。

     つまり、23条照会で問題になる場面は、プライバシーが侵害される第三者と情報開示を求める側の必要性とのバランスを図る場面になり、照会を受けた当事者には慎重な判断が求められます。

     他方で、自分がゲームにこれまでいくら課金したかの確認や、「今だけ当たりやすい」と謳っているガチャの当選確率を開示せよという要求は、利用者とゲーム会社のみが当事者で、開示対象の情報は要保護性が低いのではないでしょうか。
     これまでのユーザーの課金額の確認は、まさに取引履歴。
     そしてガチャの当選確率は、取引の前提をなす重大な要素であり、これを明らかにする必要性は高いと考えられます。

     ですので、とりあえず23条照会をやって、回答拒否されたらそれに対して不法行為として訴えていくというのは、見込みがあると思います。

     しかし、じゃあどこの誰が金を出して裁判するのかという現実問題に向き合った場合、ゲームには課金しても裁判に課金する人はそうそういないでしょうし、勝ったところで損害賠償額がどのくらいかというと。
     また、履歴の開示拒否などを続ける態度が悪質と判断されれば営業停止させられる貸金業界と違い、ゲーム業界については監督官庁がないこともあって、「裁判で負けても払う金は大したことがないし」と、やはり23条照会に無視を決め込まれることも想定されます。
     そうなると、ゲームに課金した額の返還を求めていく道のりには、まだクリアすべきハードルがあると思われます。クレジットカードでポイントを買っていれば、ある程度そのゲームに課金した額(損害額)を推定で計算できるかもしれませんが。

     また、弁護士法人アディーレ法律事務所(就活の際、内定をお断りして本当にご迷惑をおかけしました。後悔はしてません)に対する景品表示法違反に基づく措置命令などで、俄然張り切っている消費者庁が間もなく動き出すとの話もあり、いずれ問題は収束に向かうのではないかと思います。

     そんな訳で、潜在的な被害者は多数いるけれども、この問題がゲーム会社からお金を取り戻す第2の「過払いブーム」を呼ぶかという点では、私は消極に考えています。

     ついでに、どこかの弁護士法人が「今だけの期間限定で、23条照会の着手金が無料! 安心の返金保証! ご満足いただけなかっらた着手金を全額返金!(90日以内)」みたいなキャンペーンを始めたら、そこに頼むかどうかはよく考えてくださいね。
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