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    武器は多い方がいい
     われわれも日々勉強を要する業界なのですが、研修やマニュアル本で新しい方法や珍しい方法を知ったりすると、私なんかは絶対に一度は使いたいと思い、強く心に残ったりします。

     以前、刑事事件での証拠保全請求事件という珍しい制度を使ったことについて書きましたが(「事件番号第1号を取った話」)、これも刑事弁護の本で知り、一度やってみたかった制度でした。

     そして最近の話ですが、平成15年の民訴法改正で導入されながらあまり活用されていないとされる民事訴訟法第132条の2第1項の「提訴予告通知」・「提訴前照会」という制度について、これを利用する機会がありました。

     これは、相手方に対して金銭の支払いを求めたいが、交渉・調停等による解決は先方の事情で難しいと思われるため、解決の方法としては訴訟の他ないという案件でした。
     そして、訴訟にするにせよ訴状に書くべき点の一部については、先方に情報開示をしてもらう必要がありました。

     一般的にはまず内容証明郵便で催告書を送り、相手方の出方をみて民事訴訟に移行するのですが、これには提訴予告通知が使えるのではないかと考え、「催告書兼提訴予告通知書」及び「照会書」を電子内容証明郵便で差し出すことにしました。

     「催告書兼提訴予告通知書」には普通の催告書の内容に加え、お支払いいただけない場合には訴訟にするので提訴を予告しますと続け、(1)請求の要旨、(2)紛争の要点(訴状における請求原因に対応。あまり厳密でなくともよい)、(3)提訴時期を記載しました。
     そして段落を改め、「照会書」という見出しをつけて、照会事項としてこちらが知りたいことの質問に加え、訴外で解決する余地があるかを尋ねました。対応次第では、訴訟をせずに解決できますよという意味です。

     結果として、訴訟を経ずに自主的なお支払いをしていただけることになりました。依頼者にとっては喜ばしい話なのですが、少し拍子抜けでした。

     提訴予告通知制度について私が思ったメリット、デメリットは以下のとおりです。

    【メリット】 ほぼ間違いなく民事訴訟に移行するという強いメッセージを出せる
     一般的な内容証明郵便に比べると、提訴予告通知には請求原因の骨格部分である紛争の要点を書く必要があるという点で、また「提訴予告通知」という言葉のインパクトで、放置すれば確実に訴訟になるというメッセージを打ち出せると思います。機会があれば今後も積極的に使いたいところです。
     こちらが知りたい点を事前に教示してもらうことで訴訟の準備もはかどりますし、もし回答拒否の対応ならば、回答義務違反として被告側にマイナスの心証を裁判所に与えられる可能性もあります。

    【メリット】 不気味な印象を与えられるかも
     あえてマイナーな制度を利用することで、相手方に不気味な印象や、めんどくさい代理人が就いたぞという印象を与えられるかもしれません(本当にメリットか?)。

    【デメリット】 詐欺に間違われる危険性がある
     「提訴予告通知書」というタイトルは、いかにも振り込め詐欺のハガキやメールにありそうです。受け取ってそのままゴミ箱行きにされるかもしれません。
     個人を相手に提訴予告を出す場合は、相手が詐欺と誤認して、通知を放置する可能性については考えておかないといけないでしょう。

    【デメリット】 必然的に文字数が増え、内容証明郵便の料金がアップする
     ま、細かい点ですが。法定の記載事項がありますので、どうしても文字数が増えて手間も郵便費用も少し増えます。

     以上の点からして、提訴予告通知が使える場面としては、
     (1) 訴訟によることが方針として本決まりである
     (2) 訴える前に相手の手持ちの情報を手に入れたい
     (3) 相手方がそこそこの規模の法人や弁護士が付いている個人である
     (「提訴予告通知書」を受け取っても、詐欺だと誤解しない相手である)
    という条件が揃っているときになるでしょうか。


     一つの武器を極めることは重要ですが、それでも武器は絶対に多い方がいいはずです。これからも方法論を突き詰めていきたいと思っています。

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