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    ある準強姦事件の思い出
     金メダリストが準強姦容疑で逮捕されたニュースを聞き、私が弁護士1年目に担当した、準強姦被疑事件の国選弁護の話を思い出しました。
     どういう訳か、1年目の被疑者国選では性犯罪がよく回ってきて、準強姦が1件、強制わいせつが2件ありました。ある事件は全面否認、またある事件は全面自白と様相も弁護方針も全く異なるものでしたが、幸いにもいずれも不起訴になりました。
     
     そのうち、準強姦事件については、当事者の行動にはほぼ争いがないものの、酒に酔った女性との間で合意があったか否か、女性が抵抗できない状況だったか否かが問題となるケースでした。

     初回の接見の際、現場や行為当時の状況と当事者の人間関係を聞き取り、これは女性との合意があったはず、抵抗できない状況ではない、起訴は難しいだろうとの心証を得た私は、すぐさま検察官宛に慎重な捜査と不起訴を求める意見書を作成。
     
     さらに、否認事件であっても嫁入り前の女性の裸を見たことには違いないので、被疑者との間で示談金を工面する相談をしたのですが、男性には蓄えがなく、将来職に就いてから分割でしか払えないとのこと。
     その旨を女性の父親で電話連絡すると(女性本人には取り次いでもらえず)、当然のことながら応じてもらえるはずもなく、まるで私が犯罪者のような言い草をされました。
     たしかに、娘を持つ父親からすれば当然の反応だと思いましたので、私は一切反論することなく電話を切りました。もしここで私が、「おたくの娘さんは被害者だというけど、そもそも・・・」うんぬんを言い出したら、収拾がつかなくなっていたことでしょう。

     示談が成立しないときに弁護士が取る手段の一つとして、こういう経緯で示談を申し入れたが、被害者に断られてダメでしたという示談経過報告書を作ることがあります。私も、被害者の父親の反応を詳細に記録し、できる限りの申し入れをしたが示談は成立しなかったと報告書をまとめました。
     これに加え、不起訴を重ねて求める意見書を作成。「仮に女性との間で性行為の合意がなかったとすれば、また酩酊していたとすれば、こういう点で不自然である」といくつか事実を指摘し、検察官に下駄を預けました。
     これだけやって起訴されるなら、もう仕方が無い。

     その後、勾留満期日に被疑者から電話があり、処分保留で釈放になったと聞きました。
     駆け出しの弁護士として刑事弁護のスキルを磨けて、不起訴の目的も達成できました。しかしそのことよりも、被害者(自称被害者も含む)の感情を受けとめる難しさを体感した点で、思い出に残る事件です。
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