雑誌「冤罪File No.27」の逆転無罪事件
     日本で唯一の冤罪専門誌「冤罪File No.27」を読んでいたところ、仙台地裁古川支部(山口均裁判官)で有罪、仙台高裁(嶋原文雄裁判長)で逆転無罪となった事件が紹介されていました(検察側が控訴せず確定)。

     一審の山口裁判官がDNA鑑定の結果という固い物証によらず人証に乗っかり(一般的に、証言は記憶違い・記憶の減退その他の理由により、その取り扱いに注意しなくてはならないとされる)、しかもDNA鑑定の内容を「誤読」していたというのですから、その事実認定力には驚くばかりです。なお山口判事は東京高裁に栄転されたそうですが、こういう判決を出す裁判官をこの雑誌はマークしているので、いずれ同誌に再登場もあるかもしれません。

     他方で、そのDNA鑑定の証拠開示を検察側から引き出し(検察側は不利な証拠は自主的に出さない)、鑑定科学技術センターまでわざわざDNA鑑定の実習を受けに行った弁護人の活動には頭が下がるところ。
     控訴審の主任弁護人を務めた十河弘弁護士(仙台弁護士会)の談話が掲載されています。

     謙虚に専門家に頭を下げて教えを請うた弁護人の態度。
     証人尋問で専門家に疑問点をぶつける機会がありながら、スルーした上に思い込みで鑑定を誤読した裁判官の態度。

     戒めとしないといけませんね。
    映画『聖の青春』で話題、村山聖九段の扇子への疑問
     日本将棋連盟のデジタルショップで、間もなく映画が公開されることで話題の村山聖九段の扇子を販売しています。私が見たときには既に売り切れ、残念。
     http://item.rakuten.co.jp/shogi/1516223/

     もちろん今販売されている扇子は故人の直筆ではなく印刷された物ですが、そこに書かれた文字についてふと疑問が生じました。肩書きが「九段」となっているのですが、確か村山先生は現役A級八段のままで亡くなり、その死後に栄誉を称え九段が追贈されたはずではないかと。
     ちなみに、現役棋士が九段まで昇段するには、名人位を1期取る、竜王位を2期取る、八段昇段以降に一定数の勝ち星を積み重ねるなどの高いハードルがあります。

     ※ 将棋連盟の棋士データベース・村山九段のページ http://www.shogi.or.jp/player/pro/180.html

     そうすると、生前にご自身の肩書きについて「九段」とは書かなかったと思うのですが、そうなるとこの扇子に書かれた「九段」の肩書きはいったいどこから?

     すみませんね、どうにも細かいところが気になっちゃって。

    将棋棋士のカンニング疑惑、代理人弁護士の「次の一手」は?
     将棋ファンとして最近のニュース、本当に驚きました。
     三浦九段にかかっているカンニング疑惑について、本人が強く否定しており、また不正を示す直接の証拠がないようなので(週刊文春・週刊新潮の記事が出た10月20日現在)、なんともスッキリしません。

     ちなみに私は、中学生のときに「週刊将棋」の次の一手コーナーを通してアマ三段の免状をもらいましたが、それ以降はほとんど指していないので、たぶん今の棋力は初段もないと思います。詰め将棋は3手~5手詰めなら解けるけど、それ以上の手数は頭の中で動かすのが難しくなるレベルです。このように、スポーツ観戦のようにプレーヤーにはならず観戦だけを楽しむファン「観る将」というそうです。

     さて、このニュースの初期の報道では、三浦九段は弁護士に相談する旨のコメントを出しています。
     もしこういう問題で相談を受けた場合(私にそんな機会は絶対ないですが)、弁護士としては何をすべきなのか、この数日間いろいろと考えてみました。

     まずは、不正の疑いをかけられた根拠が何か、出場停止処分を下した日本将棋連盟側の主張の精査、連盟の内部規定の精査から始まると思います。連盟側にはどんな証拠があるのか、処分の決定が適正な手続きによるものか、という点を検討します。

     なお今回の出場停止処分について連盟の説明は、「カンニングをしたから」ではなく、「三浦九段が休場の意向を示しながら期限までに休場届を提出しなかったこと」を直接の理由としている点には注意が必要です。この点でも、言った言わないの事実関係のレベルで争いがあるようです。

     次に、やってないことを証明することはできないですが(悪魔の証明)、潔白であることをうかがわせる間接的な証拠を収集することになるでしょう。
     ここでやはり一番重要なのは、三浦九段の所持・使用するすべてのスマホとPCの解析だと考えます。
     そもそもカンニングの嫌疑について、その手段が「スマホそのものに強豪ソフトが入っていた」のか、「ソフトがPCに入っていて、それをスマホから遠隔操作したのか」すら特定されていないようです。
     そうすると、これが何らかの刑事事件であれば犯行の手段が特定されていない時点で、起訴すら無理筋でしょう。ただし、これは「無罪推定の原則」がはたらく刑事事件での話であり、出場停止処分の有効性を争う民事訴訟では違う判断も十分ありうるところです。

     いずれにせよ、コンピュータの専門家に協力を依頼して、スマホとPCを解析してもらうこと。これに尽きるでしょう(なお通信履歴については民事での開示はかなり困難)。スマホやPCにソフトを消去した痕跡すらなければ、かなりシロ方向への証拠となると思います。さらに言えば公証人にも立ち会ってもらい、その様子について「事実実験公正証書」を作ってもらえば、さらに解析結果の信用性に箔がつくかと思います。

     この検証をしたとしても、「他にも隠しているスマホやPCがあるのではないか」という反論もありそうですが、これについては、やはり「ないことの証明はできない」としか言えません。あえて何かするなら、「提出した以外のスマホに関する通信料の引き落とし履歴が普段使いの銀行通帳にないこと」などを示せば、一応の再反論になりうるでしょうか。まあ、再々反論として「第三者名義のスマホを使ったか、通信料を現金で払ったのでは」ということも言えそうですが (将棋の「三手の読み」はダメでも、こういう主張と反論についての「三手の読み」なら私にもできる)。

     ただし、将棋連盟職員は三浦九段の自宅のPCについて任意提出を受けたが、三浦九段はスマホの提出は拒否したとの報道があります。ひょっとするとスマホに、未だ実戦に投入していないとっておきの新手・研究手順や、10歳以上年下の奥さんとのプライベートな写真が入っている可能性もあるので、不提出だけで直ちに怪しいとは断じることはできません。しかし、提出しないのは惜しいなという思いがします。


     以下、ここまでの報道による連盟側の主張と、考えられる反論を整理してみます。

     「ソフトが示した手と三浦九段の手の一致率が高いこと」が不正の疑いの根拠であれば、他人の棋譜での一致率を検証して、もし「他の人の対局でも一致率が高い場合がある」というデータがあれば三浦九段側に有力な間接証拠になるでしょう。「一致率という数字そのものに、証拠としての価値がない」などと反論していくことになるかと思います。

     「離席した回数・時間が多い」という点も、「それは対戦相手の印象の問題であり、どれだけ正確な数字があるのか」、との反論ができそうに思えます。

     「プロ棋士の視点からして、三浦九段の棋風(戦い方)とは違う手を指している」という連盟側の主張は、これは将棋界ではかなり有力な根拠なのでしょうが、仮に裁判になったとき、裁判官に理解してもらうことが少し難しいように思えます。「現に、多くのプロ棋士もソフトを指し手の研究に利用しており、棋風がソフトに似てくることはあり得る」という反論になるでしょうか。本当にそうなのかは、私の棋力では分かりません。

     「事情聴取でのしどろもどろな受け答え」については、私は「まあ三浦九段ならそういう場ではテンパっちゃうだろうな」という感想を持ちましたが、肝心な読み筋についてつじつまのあう説明ができていたのかがポイントでしょう。


     また、選びうる法的手段としては、竜王戦その他の棋戦に出場できる仮の地位があることの確認を求める保全手続や、得べかりし対局料について損害賠償、名誉毀損として慰謝料などを求める訴訟も考えられるところですが、そうなると三浦九段としては将棋連盟と全面戦争になりかねないところで、風評の悪化によるスポンサーとの関係も心配されるところです。そうすると、仮にシロでもクロでも、訴訟をするという選択はかなり心理的ハードルが高いのではないでしょうか。
     個人的には、連盟ではなくH本八段だけを名誉毀損で訴えると場外乱闘で面白くなると思うのですが、裁判をそそのかすことは職務倫理上できないので…。

     いずれにせよ、一将棋ファンとしてこの騒動の早い解決を願ってやみません。
     代わりに竜王戦に出場する丸山九段がどんな戦いをするか、どれだけ大量の食事を注文するかなど、将棋そのものとメシの話題で盛り上がりたいところです。

    食べログ騒動と弁護士口コミ評価サイト
     最近、飲食店情報サイトによる有料プランの勧誘を断った飲食店の評価が下げられた(のではないか)とのニュースがありました。

     ご存じない方は、ヤフーニュースの「食べログ「飲食店の乱」騒動と、内部資料が示す残念な感じ」(山本一郎 | 個人投資家・ブロガー 2016年9月11日 16時18分配信 の記事を参照願います。

     弁護士の業界には、私の知る限り信用できる口コミサイトは存在しません。
     しかし、一般の方からの法律相談にいち早く答えると(その回答の正確性を問わず)ポイントが上がる謎のシステムにより、謎のランキングを載せた大手サイトは存在します。
     
     また、弁護士を探せるサイトで乱立状態なのは、有料プランか無料プランかで掲載できる情報量が変わってきたり、検索順位が上がってくるもの。これについては、私は無料のところにはいくつか名前を載せていますが、そのサイトから自分のブログに飛んでくる人や、「村上匠弁護士」と検索する人がほとんどいないことを踏まえると、利用者は少ないものと思われ、その存在意義は見えてきません。

     あ、ごめんなさい。存在意義がないとか予算の無駄遣いとかボロカス言って。 仙台弁護士会肝煎りの「弁護士サーチみやぎ」、使ってね! (黒歴史にはさせないよ!)
     村上法律事務所は広告費を使わない事務所なので、登録されている住所は旧住所のまま修正できないし、写真やインタビューもないし、私に至っては名前すら出てきませんが。

     話がそれました。
     弁護士業というものの宿命で、依頼者のために全力を尽くせば尽くすほど、利益が対立する相手方からは恨みを買いやすいという性質がある以上、匿名の書き手による弁護士の口コミサイトは基本的に成り立たないと思います。実際に、他の弁護士の名前をたまたま検索していたら、優秀な人なのに酷い書かれようをしていたのを目にしたこともありました。
     
     現状、「弁護士を探せます」というサイトの大半は、広告に課金した弁護士が検索上位に来て、有料契約をしていない弁護士は検索の下位か、名前すら載らないという状況です。
     そういう点からすると、まだ私どもの業界は飲食店の業界とは異なって、広告費に金をかけているところが検索上位、かけてないところが下位、とハッキリ目に見えて分かります。能力や評判はランキングとは無関係。
     かえって飲食店の評価サイトの方が、口コミと課金の程度がゴチャゴチャに混ざりあっていて、使いづらいのかもしれません。

     そういえば、ダイヤモンド社、「頼りになる弁護士セレクト100」の掲載権を金で売る(リンク先:億ったー)みたいな話もあるようで、仙台で30万円を払って名前を載せている先生が何人いるのか、発刊が待ち遠しい限りです。
     
    弁護士に相談できるアプリ「弁護士トーク」に登録
     世の中「ポケモンGO」の話題で持ちきりですが、幸いにも私のスマホは非対応です。ゲームをせず本業を頑張りたいと思います。
     
     ところで、弁護士に相談できるスマホ用アプリというものがあるのですが、ご存知でしょうか?

     ある日のこと、事務所に勧誘のFAXが届きました。いわく、「弁護士トーク」に登録しませんか?というもの。
     何かと思って読んだところ、いつでも無料で弁護士に相談できるスマートフォン用のアプリがあるので、回答者として登録しませんか? という物でした。

     なんでタダ働きせにゃならんの、と思ってすぐさまFAXを捨てようと思ったのですが、私がガラケーからスマホに乗り換えたのは今年に入ってからで、ちょうど操作を覚えたり気になるアプリをインストールしたりしていたこともあり、興味本位で登録してみることにしました。

     そんなこんなで「弁護士トーク」の資料請求をしてみたところ、翌日にはメールが届き、登録申込書が添付されていました。

     メールには、「本サービスへの登録弁護士が、仙台に居なく仙台からの相談者への面談が行えていないという実態があります。」と書いてあったのですが、アプリに一般利用者として登録してみたら既に仙台会のS先生とT先生の名前があったので、どうして平気でウソを書けるのかな、とハナから不信感を覚えてしまいました。

     しかし、ここは見ないことにして申込書に記入を開始します。

     「相談者への一言メッセージを30字以内で」、か。
     これと言って思いつかないので、仙台牛弁当で有名な肉屋さんのキャッチフレーズ「かたい信用、やわらかい肉」をヒントに「かたい法律、やわらか解説」と記入。こんなのでいいか。
     その後、他の弁護士の自己紹介欄を見たのですが、「困っている人を笑顔にしたい」とか、「相談者様の悩みを共有し、解決の道標となります」とか、そういうことを書くのがどうやら正解だったようです。

     「経歴」。これが大喜利なら「ハーバードでショーンKの同級生」とでも書くのですが、詐称はいけませんね。

     「実績」。あえて書くほどのものはない。だいたい、立派な実績のある弁護士がこんなどこの馬の骨とも分からんアプリに登録する訳がないだろうが(前記S先生、T先生は除く)。

     えーっと、顔写真も添付するのか。
     ここは差別化を図るためカツラかかぶり物か、と思いましたが審査でハネられては所期の目的が達成できないため、普通の写真を添付しました。

     無事登録を済ませたところ、昼夜を問わずスマホに相談のお知らせが届くようになりました。

     仕組みはどういうものかというと、
     (1)相談をしたい利用者がまず相談のジャンル(離婚、労働、知財など)を選ぶ
     (2)そのジャンルに登録している弁護士の一覧が出るので、相談者がそこから弁護士を選ぶ
     (3)選ばれた弁護士に通知が届く
     (4)LINEのような画面でチャットで法律相談をする
    という感じです。

     どのような相談が来るかというと、もちろん守秘義務があるので詳しくは書けないのですが、不倫・性犯罪被害とか、リアルで相談するにはハードルが高い分野が多い傾向です。なるほど、これはネット相談の利点かもしれません。
     そして、借金・債務整理の相談も多いですね。こういう相談には債務整理の方法の概要を伝え、「さっさと法テラスに行きなさい」と答えるようにしています。スマホの相談だけで解決できる問題ではないですからね。

     回答する側の弁護士のメリットには何があるかといえば、これはご依頼につながるかも、という淡い期待のみ。正直、東京や名古屋の方から相談を受けても受任につながる見込みはないので、現在は宮城県内在住の相談だけ対応するようにしました。これだと週に1件程度ですが、当初は1日で3件くらい相談が来ることもありました。
     
     この「弁護士トーク」、チャット機能による相談なので、対面や電話と違い、好きなときに回答できるというのは便利かもしれません。
     しかし、昼休みや起床後などヒマがあるときにボチボチと回答してきましたが、これは対面の法律相談よりも精神的に辛い作業です。
     というのも、やはり文字だけのやり取りはまどろっこしいですね。
     あれもこれも訊きたい、もっと情報をくれと思っても、なかなかリアルタイムでチャットをすることもできないので、質問と回答のやり取りに間隔が空いてしまう。こんなやり取り、電話や面談なら10分で済むのになあ、なんて思います。
     また、回答に正確性が保証できないのも辛いところ。契約書など書面の確認もできず、断片的な情報からおそらくこういうことだろうがと推測を交えて答えていくのは、けっこう骨の折れる作業です。回答も断定口調では書けません。

     では、その作業が報われるのかというと。

     新たに登録しようと思っている同業者向けに注意をしておきますが、これまで40人くらい話しを聞いてリアル法律相談へつながった件数はゼロ。1円の収入にもなっていません。
     ですので、こういう「無料相談」すなわち「1円も払いたくないが回答は得たい」という相談にどれだけ真剣味があるか、そういう点をよくお考えになってから登録されてはいかがかと。
     私の場合、もはやアプリの相談は頭の体操といった感覚で片手間でやっていますが、いずれ飽きたら登録抹消しようかなと思っているところです。登録の有料化とかが始まったら、間違いなくバイバイ。

     相談する側も、このアプリはあくまで簡易診断、あるいは法律相談のお試し・予行練習だと思って使うべきでしょう。きちんと資料を持参して弁護士に話しを聞いてもらった方が、絶対に精度の高い回答になります。
    熊本県弁護士会ニュース<災害Q&A>
     熊本県弁護士会が、地震の被災者に対する情報提供のため、熊本県弁護士会ニュース<災害Q&A>を発行しました。

     ・当面の生活費について、緊急小口貸付という制度あり。問い合わせ先は社会福祉協議会か市町村。
     ・片付け前に(もちろん安全を十分に確保した上で)被災状況を写真に撮っておくこと。(被害状況の認定の資料)
     ・公租公課の支払関係は減免や待ってもらえる見込み。
     ・通帳、保険証、免許証、保険証がなくなっても本人確認が取れればなんとかなる(無理に取りに戻らない)
    などなど、被災者の方には知っておいていただきたい情報が詰め込まれていますので、身の回りに被災された方がいる方にはぜひとも周知していただきたいところです。

    (提供される情報は、立法や特別措置などにより今後随時アップデートされると思います)
    愛宕大橋の時間帯によるセンターライン変移がなくなる件
     長年にわたり交通事故を誘引してきた愛宕大橋の時間帯によるセンターラインの変移が、平成28年3月21日(月)午前7時から廃止になるようです。
     根岸交差点~愛宕大橋交差点における交通規制(中央線変移など)について (宮城県警サイト)

     大きいカーブで見通しが悪いうえ、時間によって3車線だったり4車線になったりするのは地元の人間でも一瞬判断に迷うときがあるので、廃止は大歓迎。これで事故が減るといいですね。

     ところで、県警のホームページのバナー広告欄にはまだ余裕があるようです。月額5000円って安い気がするのですが、誰か弁護士でやるヤツいないか(それとも審査でハネられているのかな)。 
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