自筆証書遺言保管制度にまつわる疑問
     近々ブログでお知らせできると思いますが、某所で改正相続法について簡単なセミナーをやってほしいと頼まれており、時間を見つけてはレジュメを作成しています。

     今回の相続法改正の柱は、特に①配偶者の保護と、②自筆証書遺言の使い勝手の改善にあると思っています。

     遺言については、自筆証書遺言の鉄則だった「全文」自筆が緩和され、パソコンで作成した目録や不動産の登記事項証明書などを添付してもよいこととされました(2019年1月13日から)。
     そして、遺言書保管法が新設され、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえて、なおかつ保管してもらった遺言書は家裁での検認が不要になるという一見便利そうな制度ができます(2020年7月13日までに開始)。

     しかし、この遺言書保管法、例えば申請書の様式ですとか手数料ですとか、細かい点は現時点(2018年10月19日)では未定のようです。

     さらに分からないのが、相続人に対する通知制度。
     遺言者の死後、相続人などは「遺言書ありますか? あったら見せてください」と法務局で確認ができます。そうした場合、法務局サイドは「遺言書を保管してますよ」と他の相続人や関係者に通知することになっています。

     そうすると疑問に思うのが、誰が他の相続人の住所を調べるのか? という点です。

     誰かに遺言者や相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍+相続人の戸籍附票を集めさせないといけないはずですが、法務局はそこまでサービスしないでしょう。
     保管してもらう申請者が相続人の住所を届け出るとしても、遺言者が死んだときには相続人の住所が変わっていることも考えられるので不相当。

     とすると、おそらくは法務局に遺言の有無を確認しに来る相続人に、他の相続人の住所を調べさせる運用になるのではないか?と思うのです(もし違う運用になったら、速やかに訂正して正しい情報を書きます)。

     だとすると、結局は現行の検認手続きと同じ、相続人全員の戸籍収集の手間がかかり、「検認不要」と喧伝される利点は、実はそれほどでもないのではないか。そう思うのです。
     果たして、運用やいかに。

    お盆の準備は万全ですか? 帰省するならココをチェック!
     8月に入りました。
     お盆休みに帰省されて、久々に地元の親御さんの顔を見るという方もいらっしゃると思います。そこで今日は私の視点から、帰省する際に注意してもらいたいことや、アドバイスをお伝えいたします。

    ポイント1 悪徳商法にだまされてませんか?

     ご実家に、似つかわしくない高級品や、箱買いした健康食品などがないか確認してください。
     例えば消費者トラブルの例として、テレビショッピングの「初回限定のお試し価格!」に申し込んだところ、実は定期購入の契約であり、その結果どんどん品物が届き、解約の仕方も分からないので(または、高齢になると面倒くさいことは避けたがるので)、そのまま不要な品物を購入し続けているケースがあります。
     (参考・国民生活センターのサイトの相談事例より)
    http://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2017_33.html

     それと、親が地主さんの場合は、何とか建託やら何とかパレスの社員が出入りして、「賃貸アパートを建てて賃料収入からローンを返せば相続対策になる」みたいな話が進んでいないか、気をつけてください。「サブリース」という単語を親が口にしていたら要注意です。「サブリース被害」で検索を。


    ポイント2 ネットで真実を発見? おかしな言動をしてませんか?

     先日、弁護士に対する大量の不当な懲戒請求がなされ、懲戒請求をした人が逆に弁護士から訴えられるニュースがありました。ネット上の煽動を受けて懲戒請求をした人には、中高年の方も含まれていたことを、懲戒請求を受けた弁護士がTwitter等で明かしています。
     ネットの嘘・フェイクニュースの類に釣られた経験がなく免疫がない方は、ネットで「真実」を発見したと思い込み、陰謀論やエセ科学など怪しげな情報にのめり込むことがあります。
     久しぶりに会った親が何かおかしなことを口にするようになっていないか、ゆっくり時間を取って最近の関心事を聞いてみましょう。


    ポイント3 相続の話はし辛い。そのときは家系図作成・エンディングノートから

     そろそろ高齢の親と相続の話をしたいけど、なかなか切り出しづらい。そのような場合は、まず「気づき」の機会を用意してはいかがでしょう。
     お盆はご先祖様に思いを馳せる期間でもありますので、まずは親と一緒に家系図を作ってみるのはいかがでしょうか。家系図を作り、既に亡くなった方々を思うことで、自分もいつか亡くなるという厳然たる事実に向き合うことになるでしょう。なお家系図を作っておくことは、相続の手続きで戸籍を集めるときにも役に立ちます。

     また、少しハードルは上がりますが、「エンディングノート」(名前・記載内容はものにより異なる)を書いてもらうのはどうでしょうか。
     エンディングノートというと、葬儀の方法の指示や財産の一覧など亡くなった後の話ばかりのように思えますが、病気で倒れ意思表示ができない際に医師に伝える既往症や服薬している薬の一覧を整理しておくもの、延命治療に対する考え方を書いておくものもあります。備えあれば憂いなし、の視点から提案してみるのも一つのアイデアです。

    紀州のドン・ファン事件について思ったこと
     紀州のドン・ファン事件について思ったこと、その1。

     案外、捜査の決め手に欠いて、このまま第2の「ロス疑惑」の展開もあり得るのではないか。

     無罪推定の原則に従って、誰が怪しいという報道は主要メディアではなされていませんが、このニュースを見た大半の方がおそらく「あの人が怪しい」という見解を持っていると思います。
     しかし、本当に日本中の素人探偵が思いつく単純な構図なのでしょうか。仮に殺人事件だとして、犯人が「あの人」なら、疑われやすい人がそんな分かりやすい構図で犯行に踏み切るものか、犯人には逃げ切る自信が相当あったはずではないか、という疑問が残ります。

     捜査する側としては、そもそも殺人事件だとするには、自殺や事故の可能性、つまり被害者が実は覚せい剤を自発的に服用したなどの可能性を否定しなくてはなりません(うちらの業界用語ではこれを「事件性がある」といいます)。

     そして、捜査側が仮にAさんに疑いをかけている場合、そのAさん(ないし共犯者)がどこから覚せい剤を入手したかというルートの特定もできないまま、逮捕や起訴に持ち込むのは厳しいと思います。
     
     先走った週刊誌が事件関係者のプライバシーを報じたり、匿名のサイトが適当なことを書いたりしてもいますが、疑われた方からこれら週刊誌・ネット上の個人が何十件、何百件とまとめて訴えられることもあるかもしれない。
     そのような意味で、第2の「ロス疑惑」のような展開もあるのかなと思っています。


     紀州のドン・ファン事件について思ったこと、その2。

    ♪ ドンドンファンファン ドンファンファン~


    (このダジャレを書きたかっただけの話)

    麻しん(はしか)の抗体、ありました!
     本日、麻しん(はしか)の抗体検査の結果を聞いてきました。連休前ということもあり、病院で結果を聞くだけで1時間待ちという有様です。検査結果を電話で教えてくれたらな、とも思ったり。

    hashika.jpg

     数値が4.0以上あればいいところ、なんと47.7という高い数字で、お医者さんからも「はしかの患者の中に飛び込んでも大丈夫」というお墨付きをいただきました。

     これで安心して麻しん(はしか)の流行地域も出歩けますね。 


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    麻しん(はしか)の予防接種がもうGWに間に合わない件
     これは意外と知られていない話で広めるべきと思ったので、ブログに書こうと思いました。今すぐ麻しん(はしか)の予防接種をしても、ゴールデンウィークには間に合わないというお話しです。


     4月10日の仙台-台北便の搭乗客に麻しん(はしか)患者がいたことや、台湾・沖縄で麻しん(はしか)が流行しているというニュースが流れています。
     本当に間が悪いことに、私もこの連休に台湾に旅行する予定をしていたので、さっそく近くの病院に電話をしました。麻しん(はしか)のワクチンの在庫があるか尋ねたところ、「在庫を切らしていて、次に業者から入ってくるのがいつになるか」と言うではありませんか。

     しかし、抗体検査はできるとのことで、採血をして検査してもらうことになりました。はしかのワクチンは打った覚えはあるのですが、接客業でもあるので念には念を入れる必要があります。

     採血の前に看護師さんに対し、「もし陰性だとしてワクチンを打ったら、ゴールデンウィークに間に合いますかね?」と尋ねたところ、「抗体ができるまで2週間から1か月はかかりますよ」

     なんですと!?

     じゃあ、もう間に合わないじゃないですか!

     腕をまくったまま一瞬硬直しましたが、まあ抗体のあるなしが分かっているだけでも心構えが変わってくるというもの。結果は早くて金曜に届くとか。

     さて、どうなるでしょうか。

    (参考リンク)
    麻しん(はしか)に気を付けましょう! (仙台市HP)

    武器は多い方がいい
     われわれも日々勉強を要する業界なのですが、研修やマニュアル本で新しい方法や珍しい方法を知ったりすると、私なんかは絶対に一度は使いたいと思い、強く心に残ったりします。

     以前、刑事事件での証拠保全請求事件という珍しい制度を使ったことについて書きましたが(「事件番号第1号を取った話」)、これも刑事弁護の本で知り、一度やってみたかった制度でした。

     そして最近の話ですが、平成15年の民訴法改正で導入されながらあまり活用されていないとされる民事訴訟法第132条の2第1項の「提訴予告通知」・「提訴前照会」という制度について、これを利用する機会がありました。

     これは、相手方に対して金銭の支払いを求めたいが、交渉・調停等による解決は先方の事情で難しいと思われるため、解決の方法としては訴訟の他ないという案件でした。
     そして、訴訟にするにせよ訴状に書くべき点の一部については、先方に情報開示をしてもらう必要がありました。

     一般的にはまず内容証明郵便で催告書を送り、相手方の出方をみて民事訴訟に移行するのですが、これには提訴予告通知が使えるのではないかと考え、「催告書兼提訴予告通知書」及び「照会書」を電子内容証明郵便で差し出すことにしました。

     「催告書兼提訴予告通知書」には普通の催告書の内容に加え、お支払いいただけない場合には訴訟にするので提訴を予告しますと続け、(1)請求の要旨、(2)紛争の要点(訴状における請求原因に対応。あまり厳密でなくともよい)、(3)提訴時期を記載しました。
     そして段落を改め、「照会書」という見出しをつけて、照会事項としてこちらが知りたいことの質問に加え、訴外で解決する余地があるかを尋ねました。対応次第では、訴訟をせずに解決できますよという意味です。

     結果として、訴訟を経ずに自主的なお支払いをしていただけることになりました。依頼者にとっては喜ばしい話なのですが、少し拍子抜けでした。

     提訴予告通知制度について私が思ったメリット、デメリットは以下のとおりです。

    【メリット】 ほぼ間違いなく民事訴訟に移行するという強いメッセージを出せる
     一般的な内容証明郵便に比べると、提訴予告通知には請求原因の骨格部分である紛争の要点を書く必要があるという点で、また「提訴予告通知」という言葉のインパクトで、放置すれば確実に訴訟になるというメッセージを打ち出せると思います。機会があれば今後も積極的に使いたいところです。
     こちらが知りたい点を事前に教示してもらうことで訴訟の準備もはかどりますし、もし回答拒否の対応ならば、回答義務違反として被告側にマイナスの心証を裁判所に与えられる可能性もあります。

    【メリット】 不気味な印象を与えられるかも
     あえてマイナーな制度を利用することで、相手方に不気味な印象や、めんどくさい代理人が就いたぞという印象を与えられるかもしれません(本当にメリットか?)。

    【デメリット】 詐欺に間違われる危険性がある
     「提訴予告通知書」というタイトルは、いかにも振り込め詐欺のハガキやメールにありそうです。受け取ってそのままゴミ箱行きにされるかもしれません。
     個人を相手に提訴予告を出す場合は、相手が詐欺と誤認して、通知を放置する可能性については考えておかないといけないでしょう。

    【デメリット】 必然的に文字数が増え、内容証明郵便の料金がアップする
     ま、細かい点ですが。法定の記載事項がありますので、どうしても文字数が増えて手間も郵便費用も少し増えます。

     以上の点からして、提訴予告通知が使える場面としては、
     (1) 訴訟によることが方針として本決まりである
     (2) 訴える前に相手の手持ちの情報を手に入れたい
     (3) 相手方がそこそこの規模の法人や弁護士が付いている個人である
     (「提訴予告通知書」を受け取っても、詐欺だと誤解しない相手である)
    という条件が揃っているときになるでしょうか。


     一つの武器を極めることは重要ですが、それでも武器は絶対に多い方がいいはずです。これからも方法論を突き詰めていきたいと思っています。

    ちっちゃな検認済証明書
     公証役場を通さずに自分で作った遺言書(自筆証書遺言)を発見した場合は、家庭裁判所で検認の手続きをして、証明書を付けてもらう必要があります。これは、遺言書の入っている封筒が開封されているか否か、すなわち中身を見られる状態か否かを問いません。このような状態で遺言書が見つかりましたよ、ということを公的に記録しておく制度だからです。

     ところで私が最近手がけた検認で、故人が生前使っていたノートに、死んだ後に財産を誰々にやってくれという指示とともに日付、署名、押印がなされているページがあるという事案がありました。記載内容からすると自筆証書遺言の要件を満たしていると判断したので、検認申立てを行いました。

     普通の遺言書の場合は、A4サイズの検認済証明書が遺言書にホチキス留めされ、割り印が押されます。先日も、やたら長い和紙に墨書きされた立派な遺言書に対し、無機質なペラ紙1枚がホチキス留めされたものを見たばかりです。
     しかし、本件の場合は単行本サイズの大きさのノートなので、それも難しそう。

     さてどうするのだろうと思いながら出来上がりの連絡を待っていたところ、葉書の半分くらいのサイズの、小さな検認済証明書が、該当のページに糊付けされて返ってきました。
     これまでいろんな遺言書を見てきましたが、なかなか珍しいものを見ました。


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