名刺入れをなくしました
     先日、どこかで名刺入れをなくしました。

     もらい物なのですが、バーバリーの茶色の名刺入れです。私の名刺が数枚と、最近名刺交換をした方の名刺が入っているはずです(相手にも申し訳ない)。
     もしどこかで拾われた方は、ご連絡いただければ幸いです。

    雑誌「冤罪File No.27」の逆転無罪事件
     日本で唯一の冤罪専門誌「冤罪File No.27」を読んでいたところ、仙台地裁古川支部(山口均裁判官)で有罪、仙台高裁(嶋原文雄裁判長)で逆転無罪となった事件が紹介されていました(検察側が控訴せず確定)。

     一審の山口裁判官がDNA鑑定の結果という固い物証によらず人証に乗っかり(一般的に、証言は記憶違い・記憶の減退その他の理由により、その取り扱いに注意しなくてはならないとされる)、しかもDNA鑑定の内容を「誤読」していたというのですから、その事実認定力には驚くばかりです。なお山口判事は東京高裁に栄転されたそうですが、こういう判決を出す裁判官をこの雑誌はマークしているので、いずれ同誌に再登場もあるかもしれません。

     他方で、そのDNA鑑定の証拠開示を検察側から引き出し(検察側は不利な証拠は自主的に出さない)、鑑定科学技術センターまでわざわざDNA鑑定の実習を受けに行った弁護人の活動には頭が下がるところ。
     控訴審の主任弁護人を務めた十河弘弁護士(仙台弁護士会)の談話が掲載されています。

     謙虚に専門家に頭を下げて教えを請うた弁護人の態度。
     証人尋問で専門家に疑問点をぶつける機会がありながら、スルーした上に思い込みで鑑定を誤読した裁判官の態度。

     戒めとしないといけませんね。
    同窓会名簿への名刺広告
     先日、同窓会名簿への名刺広告を載せませんか?という問い合わせの電話がかかってきました。

     資料をFAXしてもらって見たのですが、サイズによって料金もさまざまなようで、さてどうしたものか。ただ、よくよく考えてみると、仙台一高出身の弁護士の諸先輩型は仙台に大勢いて、今さら高50回生の私が名刺広告を載せようが埋没すること間違いなし。
     その上、そもそも自分自身が同窓会名簿を買っていません。

     今度電話がきたら、低調にお断りさせていただこうと思っています。

    事件番号第1号を取った話
     これまでに何らかの形で裁判に関わったことのある方であれば、例えば「仙台地方裁判所 平成29年(ワ)第1234号」などの事件番号を目にしたことがあるかと思います。

     これは、裁判所が受け付けた事件ごとに番号を振っていくもので、かっこ書きの符合については(ワ)なら地方裁判所の第1審の民事訴訟、(わ) なら刑事事件で地裁の公判請求事件を指します。民事事件では片仮名でイロハニ・・・で、刑事事件では平仮名です。
     番号の数字は裁判所の受付日時順に振られていきますので、弁護士が(ワ)第1号とか(ヨ)第1号(ヨは地裁の保全事件)とかの番号を見たりすると、「おっ、正月早々に裁判所に提出ですか。お忙しいことで何よりですなあ(やっかみ半分)」などと思うわけです。

     私なんぞはそこまで急ぎの事件を年末年始に持ち込まれた経験はないので、これまで第1号という番号を取った経験がなかったのですが、つい先日その機会がありました。

     といっても、今年の第1号ではなく、昨年12月。平成28年(よ)第1号という事件番号です。

     さて、(よ)って何の事件だと思いますか?

    今月は身柄事件の不起訴3件、民事訴訟の和解1件
     今年も残すところあと僅かとなりました。
     
     今日12月28日は、ある民事訴訟が和解で終わりました。年末になると、訴訟の当事者も年内にケリを付けたいという気持ちが強くなるせいか、和解がまとまりやすくなるというのは良く言われる話です。

     また今月はなんやかんやで刑事事件が立て込んでいたのですが、被疑者が勾留された身柄事件のうち3件が不起訴釈放で終わり、年末年始に急ぎの接見をする案件はなくなりました。助かります。

     弊事務所も明日から年末年始のお休みをいただき、来年1月10日(火)より業務を開始する予定です。

     休みの期間中、もしお急ぎのご相談がありましたらスマホ用アプリ「弁護士トーク」を利用して連絡いただくか、メールなどでお問い合わせ下さい。どこにも出かける予定がないので、喜んで対応させていただきます。
     
     それでは、よいお年をお迎えください。

    映画『聖の青春』で話題、村山聖九段の扇子への疑問
     日本将棋連盟のデジタルショップで、間もなく映画が公開されることで話題の村山聖九段の扇子を販売しています。私が見たときには既に売り切れ、残念。
     http://item.rakuten.co.jp/shogi/1516223/

     もちろん今販売されている扇子は故人の直筆ではなく印刷された物ですが、そこに書かれた文字についてふと疑問が生じました。肩書きが「九段」となっているのですが、確か村山先生は現役A級八段のままで亡くなり、その死後に栄誉を称え九段が追贈されたはずではないかと。
     ちなみに、現役棋士が九段まで昇段するには、名人位を1期取る、竜王位を2期取る、八段昇段以降に一定数の勝ち星を積み重ねるなどの高いハードルがあります。

     ※ 将棋連盟の棋士データベース・村山九段のページ http://www.shogi.or.jp/player/pro/180.html

     そうすると、生前にご自身の肩書きについて「九段」とは書かなかったと思うのですが、そうなるとこの扇子に書かれた「九段」の肩書きはいったいどこから?

     すみませんね、どうにも細かいところが気になっちゃって。

    将棋棋士のカンニング疑惑、代理人弁護士の「次の一手」は?
     将棋ファンとして最近のニュース、本当に驚きました。
     三浦九段にかかっているカンニング疑惑について、本人が強く否定しており、また不正を示す直接の証拠がないようなので(週刊文春・週刊新潮の記事が出た10月20日現在)、なんともスッキリしません。

     ちなみに私は、中学生のときに「週刊将棋」の次の一手コーナーを通してアマ三段の免状をもらいましたが、それ以降はほとんど指していないので、たぶん今の棋力は初段もないと思います。詰め将棋は3手~5手詰めなら解けるけど、それ以上の手数は頭の中で動かすのが難しくなるレベルです。このように、スポーツ観戦のようにプレーヤーにはならず観戦だけを楽しむファン「観る将」というそうです。

     さて、このニュースの初期の報道では、三浦九段は弁護士に相談する旨のコメントを出しています。
     もしこういう問題で相談を受けた場合(私にそんな機会は絶対ないですが)、弁護士としては何をすべきなのか、この数日間いろいろと考えてみました。

     まずは、不正の疑いをかけられた根拠が何か、出場停止処分を下した日本将棋連盟側の主張の精査、連盟の内部規定の精査から始まると思います。連盟側にはどんな証拠があるのか、処分の決定が適正な手続きによるものか、という点を検討します。

     なお今回の出場停止処分について連盟の説明は、「カンニングをしたから」ではなく、「三浦九段が休場の意向を示しながら期限までに休場届を提出しなかったこと」を直接の理由としている点には注意が必要です。この点でも、言った言わないの事実関係のレベルで争いがあるようです。

     次に、やってないことを証明することはできないですが(悪魔の証明)、潔白であることをうかがわせる間接的な証拠を収集することになるでしょう。
     ここでやはり一番重要なのは、三浦九段の所持・使用するすべてのスマホとPCの解析だと考えます。
     そもそもカンニングの嫌疑について、その手段が「スマホそのものに強豪ソフトが入っていた」のか、「ソフトがPCに入っていて、それをスマホから遠隔操作したのか」すら特定されていないようです。
     そうすると、これが何らかの刑事事件であれば犯行の手段が特定されていない時点で、起訴すら無理筋でしょう。ただし、これは「無罪推定の原則」がはたらく刑事事件での話であり、出場停止処分の有効性を争う民事訴訟では違う判断も十分ありうるところです。

     いずれにせよ、コンピュータの専門家に協力を依頼して、スマホとPCを解析してもらうこと。これに尽きるでしょう(なお通信履歴については民事での開示はかなり困難)。スマホやPCにソフトを消去した痕跡すらなければ、かなりシロ方向への証拠となると思います。さらに言えば公証人にも立ち会ってもらい、その様子について「事実実験公正証書」を作ってもらえば、さらに解析結果の信用性に箔がつくかと思います。

     この検証をしたとしても、「他にも隠しているスマホやPCがあるのではないか」という反論もありそうですが、これについては、やはり「ないことの証明はできない」としか言えません。あえて何かするなら、「提出した以外のスマホに関する通信料の引き落とし履歴が普段使いの銀行通帳にないこと」などを示せば、一応の再反論になりうるでしょうか。まあ、再々反論として「第三者名義のスマホを使ったか、通信料を現金で払ったのでは」ということも言えそうですが (将棋の「三手の読み」はダメでも、こういう主張と反論についての「三手の読み」なら私にもできる)。

     ただし、将棋連盟職員は三浦九段の自宅のPCについて任意提出を受けたが、三浦九段はスマホの提出は拒否したとの報道があります。ひょっとするとスマホに、未だ実戦に投入していないとっておきの新手・研究手順や、10歳以上年下の奥さんとのプライベートな写真が入っている可能性もあるので、不提出だけで直ちに怪しいとは断じることはできません。しかし、提出しないのは惜しいなという思いがします。


     以下、ここまでの報道による連盟側の主張と、考えられる反論を整理してみます。

     「ソフトが示した手と三浦九段の手の一致率が高いこと」が不正の疑いの根拠であれば、他人の棋譜での一致率を検証して、もし「他の人の対局でも一致率が高い場合がある」というデータがあれば三浦九段側に有力な間接証拠になるでしょう。「一致率という数字そのものに、証拠としての価値がない」などと反論していくことになるかと思います。

     「離席した回数・時間が多い」という点も、「それは対戦相手の印象の問題であり、どれだけ正確な数字があるのか」、との反論ができそうに思えます。

     「プロ棋士の視点からして、三浦九段の棋風(戦い方)とは違う手を指している」という連盟側の主張は、これは将棋界ではかなり有力な根拠なのでしょうが、仮に裁判になったとき、裁判官に理解してもらうことが少し難しいように思えます。「現に、多くのプロ棋士もソフトを指し手の研究に利用しており、棋風がソフトに似てくることはあり得る」という反論になるでしょうか。本当にそうなのかは、私の棋力では分かりません。

     「事情聴取でのしどろもどろな受け答え」については、私は「まあ三浦九段ならそういう場ではテンパっちゃうだろうな」という感想を持ちましたが、肝心な読み筋についてつじつまのあう説明ができていたのかがポイントでしょう。


     また、選びうる法的手段としては、竜王戦その他の棋戦に出場できる仮の地位があることの確認を求める保全手続や、得べかりし対局料について損害賠償、名誉毀損として慰謝料などを求める訴訟も考えられるところですが、そうなると三浦九段としては将棋連盟と全面戦争になりかねないところで、風評の悪化によるスポンサーとの関係も心配されるところです。そうすると、仮にシロでもクロでも、訴訟をするという選択はかなり心理的ハードルが高いのではないでしょうか。
     個人的には、連盟ではなくH本八段だけを名誉毀損で訴えると場外乱闘で面白くなると思うのですが、裁判をそそのかすことは職務倫理上できないので…。

     いずれにせよ、一将棋ファンとしてこの騒動の早い解決を願ってやみません。
     代わりに竜王戦に出場する丸山九段がどんな戦いをするか、どれだけ大量の食事を注文するかなど、将棋そのものとメシの話題で盛り上がりたいところです。

    Copyright © 匠の弁護. all rights reserved.
    Design by Pixel映画山脈